再びルビアレナ村へ
ジンベジはターボルの町へ、ホエテテはこの鬼角族たちとともに、そして私はユリアンカとともにバウセン山へ向かう。ジンベジが戻るころには、この野営地は移動しているだろうが、だいたいの方角と、目印になる石を積んでおくことで合流することができるだろうとのことだった。
私は、ターボルの町から持ってきた
少し馬を急がせたので、今回は六日でバウセン山にたどり着いた。上機嫌なユリアンカは、道すがらいろいろな話をしてくれた。父親のこと、人間の母のこと、そして兄のこと。この旅で、私たちの距離は確実に近くなった。途中で砂蛇の穴を見ることもあったが、十分な距離を取ることで襲撃されることはなかった。狼の群れも姿を見せず、二人と三頭の馬は日が沈む前に山の麓から
ユリアンカたちが戻ってくるのを待ちながら、バウセン山に所狭しと茂っている背の高い植物に目をやる。前回持ち帰ったこの植物を乾燥させると、表皮から麻のような糸が取れることは確認していた。前回みた粗雑な麻のような布は、この植物からできているのであろう。布ができるのであれば、紙もできるはずだ。この植物が、あの茶色い紙の原材料ではないだろうか。さらに、この植物は乾燥させると、かなり固い棒になるので槍の柄にするにはちょうどいい。残念なのは、投槍にするには軽すぎことだが。そんなことを考えていると、バウセン山の住民が山を駆け下りてくるのが見えた。手に武器を持っていないことを確認すると、腰の剣から手を放し、両手をあげて害意がないことを示すことにした。
「あんたはこの前の人だな、ようこそルビアレナ村へ」
山をおりてきた村民の顔には見覚えがあった。たしかベエカという男だ。
「ベエカさん、お久しぶりです。先日の約束を果たすためにきました。ノアルー村長はおられますか」
ベエカがうなずくのを見ると、
軽々と麻袋が男たちに担がれるのを見てから、
視界が開けると、前回と寸分変わらない風景が広がっていた。この村は、二百年間まったく変わっていないのだから、ふた月くらいで変わるわけもない。
「おお、あんたはローハンさんだったな。ルビアレナ村は、あんたを歓迎するよ」
長い髭を蓄えたノアルー村長だ。そのまわりには、村人がたくさん集まっている。
前回は無視されていたように思えたのだが、なぜ今回はこれほど村人が集まっているのだろう。
「さっそく商談だ。あんたの持ってきた食料を、買い取らせてもらいたい」
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