第2話〜神の力〜

「私は神なので、時々下界の様子を観察しなければならないのです。それで、3年前の今位の時期にその仕事をしていると、貴方を見つけて好きになってしまったのです。今までは、見ているだけで満足だったのですが、やはり実際に会いたかったので寝ているうちに召喚してしまいました。すいません···。」


シーラは俺がここにいる理由を全て話してくれた。それと、さっき「召喚した」と言っていたので、俺は死んではいないのだろう。しかし、俺には聞きたいことが山ほどある。


「俺の何処らへんを好きになったんだ?」


ここに人が居たら、それより先に聞くことあるでしょ!?と、突っ込まれそうだがそんなこと知ったこっちゃねえ。誰からも好きになられたことのない俺からしたらこの質問こそが第一優先である。


「え、えーっと···、好きに理由なんて無いです!」


俺が変な考え事をしていると、そんな言葉が聞こえた。なんだ、ただの一目惚れか···。俺は本の少し落ち込んだ。


「そ、そうか···。それと、あと一個聞いていいかな?」


「はい。」


俺はシーラからのOKサインを貰ったので、自分を好きになった理由を除いて、今一番聞きたい質問をした。


「俺はこれからどうすれば良いんでしょうか···?」


「その事でしたら、えーっと、そのー、わ、私と一緒に異世界で暮らすのはどうでしょうか?」


「ぜひ!」


俺がそう答えた瞬間シーラの顔だとても明るい表情になった。

か、かわええ···。そもそも、こんな美人に一緒に暮らそうだなんて言われて断るやつなんて居るのだろうか?

居たらぜひともあってみたい。そして、異世界という現実からかけ離れた言葉も胸が高鳴る。


「でも、何で異世界なんだ?下界じゃだめなの?」


正直そんなことどうでもいいのだが、気になったので聞いてみると、


「神というのは、決まりみたいなのががあって下界に行ってはいけないんです。」



「なるほど。じゃあ、早速その異世界に行って幸せライフを送ろうぜ!」


俺は、異世界というものが気になって仕方がなかったので、そう言って立ち上がろうとすると、


「ちょ、ちょっと待ってください!」


シーラの呼び止める声が後ろから聞こえてきた。俺は、少し驚き後ろを振り返ると、シーラは何か言いたげな顔をしていた。


「実は、異世界には魔王と四天王、そして幹部が8人いて、私と暮らす前にそれらを貴方に倒して来て欲しいんです。」



「ま、マジですか…。」


シーラから告げられた事が衝撃すぎて固まってしまった俺だが、少し時間が経ってようやく我に返った。


「って…、魔王とかただの人間じゃ倒せねぇだろ!」


俺は無理だと言い切った。いや、だってどう考えても無理でしょ!あと怖いし!しかも、俺なんの特技も無ければ、ヒョロヒョロだよ⁉︎


そんな事を考えていたらシーラが、


「はい。ただの人間なら無理です。」


「でしょでしょ!やめたほうがいいって〜!俺まだ死にたくないし…。」


「違います!私はただの人間ならって言ったんです!」


何を言っているんだこの子は?と、俺が首をかしげると、


「貴方に私の、いえ、神の力を授けます。これを受け取れば貴方は人間ではなく、神に近い存在となり、強くなれば神以上にもなれます。」


か、神になれるだと……ッ!

いや、ダメだ!もし、神になったとしても、死ぬ可能性は十分にある…。やっぱりシーラは諦めて下界に返してもらおう。うん!そうしよう!



「あ、あのさ〜…。シーラ、俺やっぱ無…」


「やっぱり…、ダメですか…?」


俺が断ろうとした時シーラは目尻に涙を浮かべて俺の顔を見てきた。


「いや、俺倒して来るよ!その魔王!」


あぁーー!やっちまったー!「はい」って言っちまったよーー!でも、あんな顔されたら断わるわけにもいかないしな…。はぁーー…。


「本当ですか!はぁー、良かった。それでは許可も取れましたし早速神の力を貴方に授けますね!」


と、シーラがそんな事を言った瞬間俺は思った。

でも、俺は神になれるじゃないか!そうだよ!神だよ神!前向きに行こうぜ!俺


「じゃ、じゃあよろしくお願いします!」


「はい!それでは行きますよ!」


そして、シーラは俺には到底理解できない言葉で喋り出した。

そして、10分後………。


「これで、貴方は神の力を受け取りました!」


「まじか!全然そんな気はしないけど…!」


そう、俺の体は全く変化していない。力がみなぎって来るわけでもなく、何の変化も無かった。


「それは貴方の体に耐えられるぐらいの力を与えましたので。」


「ん?それって例えて言うとどれくらい…?」


俺はなんでか分からんが嫌な予感がしたのでシーラに聞いてみると、


「えーっと、力の強さが最大でLv100とすると今の貴方の力はLv3ぐらいです!」


「ほぼ、人間じゃん!」


まじか…、てっきり俺は最初から最強になれるものだとばかり思っていた…。しかし、現実は甘く無かった…!くそっ!


「そして、貴方がこの力を極め、成長すれば神よりも強くなれます!そうなったら魔王を倒してください!ちなみに、Lvを上げるためには、善意のある行動をしたり、敵を倒したりするのがベストです!」


「わ、分かった。」


俺はこれからどうなってしまうのだろうか…。

まぁ、もう人間じゃないんだし魔王を倒しに行くか。そうだよ、前向きに行こうぜ!残りの人生!



それから俺は、少しシーラと話をし、異世界にあるという「ギルド」という物に入るためのお金と1ヶ月生活するために必要なお金を渡してくれた。


そして、別れの時。


「それでは、頑張ってくださいね!私たちの未来のために!」


「おう!必ず魔王を倒して、お前を迎えに来るぜ!」


そう言って俺は異世界へ行った。







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