第1章『逝く先がわかりません』
第2話『ここはどこ?あなたは誰? 1』
「あぁ……可哀想なシンルゥ……まだこんなに若いのに……」
「本当に……親より先に逝くなんて……」
『この人の両親かな?全然状況が掴めないけど『シンルゥ』って言うのかこの人……病気……じゃないのか?
顔しか見えないけどなんか傷が多い気がするし……』
「やっとの思いで騎士団に入団出来たのに……私はこの子には家業を継いで欲しかったのに」
「これはこの子が決めた道なんだ、応援しようって話し合ったじゃないか
でも……初陣でこんな事になるなんて……」
『…………何だコレ?本当に映画かゲームみたいな話だな騎士団なんて……て事は可哀想にもこの人はせっかく騎士団に入ったのにすぐにやられちゃったって事なのか』
「今日は家族だけでお過ごし下さい、後日騎士団の本部にて隊葬を行いますので……
心からお悔やみ申し上げます
皆、行くぞ」
そう言って両親らしき人を残してほかの人は家を出ていった
『もしかして騎士団ってやつの仲間か偉いさんかな?てか俺死んだんならなんで自分の所に出なかったんだ?
このシンルゥ?くんの事も俺には関係ねえし……邪魔しちゃ悪いし外へでも出てみるか』
開いた木枠の窓から外へ出ると、石畳の通りに石レンガ造りの建物が並びそこには様々な店が並んでいた
その通りを行き交う人々は、さっきの人たちのような麻の服を来ている人が多い
中にはそれこそ映画やコスプレなどでしか見ないような武器や盾を持ち、軽装の鎧を着た人も見かける
『うっわ……マジでゲームじゃんこんなの、武器屋に防具屋、宿屋に酒場……食べ物の露天も多いな』
ふわふわと浮かんだまま辺りを見回しながら通りを進んで行くが、ふと通りの奥の方に巨大な建造物がある事に気付いた
『なんか坂の上の方に門?兵士みたいな人もいるしもしかして……は、ははっ……マジかよ』
1本ズドンと通っている大通りの更に奥に橋があり、遠くに小さく見える門の更に奥には巨大な城があった
中央の巨大な塔のようなものの周りに少し小さな塔が壁と回廊のようなもので繋がれており、中央の塔を守っているようにも見える
全ての塔のてっぺんには、良く見えないが刺繍の入った立派な旗が風になびいている
今いる街は城の周りにあり、中心の城に向かって緩やかな坂になっている、橋と門の間はここの街並みとは少しちがう雰囲気があった
『バカでっかい城に、その周りは多分偉いさんの住む家かな?んで今いる所が庶民の街って事かな……
てか本当に見えてないのな、俺の事』
人通りは多いが誰も見向きもしないというか気付くことも無かった、向かいから走ってくる子供たちも
『お、危ねっ……て、すり抜けやがったよ……マジで俺幽霊ってやつみたいだな……』
全く状況が掴めない以上とりあえず情報を集めるしかないとは思うが、入ってくる情報が多すぎて混乱する頭を抱えた
『……自分の頭は触れるのね……とりあえず行ってみるか』
行き交う人混みの隙間を縫うようにふわふわと先へと進んでいく
当たってもすり抜けていくんだろうとは思うが……
『なんかまだ、嫌な感じだな……俺、どうなっちゃったんだろ?』
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