第146話 好意

「……う~ん」

僕より少し後にフルルが起きた。

着ているのは私服。いつもの衣装は楽屋にある。

「おはよ~。今日は練習お休みだっけ~。」

(うん、だからゆっくりじゃぱりまん取りに行こ~。)

「分かった~。」

僕とフルルはじゃぱりまんを取りに外に出た。


「葡萄~。葡萄~。フルルは~。葡萄が大好き~。つまり~。グレープが大好き~。んふふ~。」

……嬉しい。嬉しい!ってか可愛い!

「あら……ふふ……」

……ん、誰かの声が……

「丸聞こえだぞ~!」

「うお、盗み聞きバレた!」

「……なんだイワプリか~。」

そこにはイワビーとプリンセス……略してイワプリが。イワプリも私服姿。

「カップルみたいに呼ばないでちょうだい……」

「まあいいじゃねーか」

「はぁ!?///」

「それより……フルルに1つ訊いていいか?」

「何~?」

イワビーは僕とフルルを不思議そうに見て訊ねた。


「何でそんなコソコソしてるんだ?」


「……いや、プライベートはシークレットだから。」

「でもちょっとバレバレね……」

……確かにちょっとバレそうかなとは思ってた。

「ん~。そうだ~。」

フルルは急に方向転換した。

「え……何だったのかしら……?」

ど、どこに……

「ねぇグレープ、今からばすでさばくに行っていい~?」

(いいけど何で?)

「ツチノコを見習うの!」


……成る程。隠れる為か。

もうさばくちほー。

ばすは遺跡に向かっている。

「にしても暑いな~……。」

「モウ着クヨ」

ボスの言う通りトンネルが見えてきた。


「ここだ~。」

僕とフルルは遺跡の前に来た。

「……ん?何か聞こえる~。」

「何で来んだよ!」

「いいじゃないですか~。」

「この声はスナツチ!お~い。」

フルルは遺跡に入っていった。

「!? また面倒な奴らがぁぁぁぁぁ……!」

ツチノコ……

「ごめん、ちょっと用事済んだら帰るよ~。すぐ済むからさ~。」

「何だよ……」

「上手く隠れるコツを教えて~。」

「すぐ済まねーよ!」

夫婦漫才……いやいや!フルルの夫は僕でツチノコの嫁はスナネコだもんね!

「教えてよ~。」

「ぐぬぬ……!俺はただ1人が好きなだけだ!だから隠れてる!」

「へぇ?たくさん隠れてるうちに上手くなったってこと~?」

「まあ、そういうことにする!」

「ありがと~。じゃあね~。」

すぐ済んだ。フルルがいつも嘘をついてると思ったら大間違い!

「また遊びましょ?僕はツチノコと遊ぶので。」

「おまっ……!///」

スナツチもいいねぇ。

「ばいば~い。」

僕とフルルは遺跡から出てばすに乗った。


時が経つのは早いもので、あっという間にみずべちほー。

「ん~。どうすれば隠れれるかな~?ツチノコの真似をすれば隠れれるかな~?」

ツチノコの真似……?

「楽屋行こ~。」

僕はわけが分からぬままフルルと楽屋へ。

「あったあった~。よいしょ~。」

フルルがいつもの衣装を取って着て、フードを被る。成る程。衣装を着る為か。

フード……猛特訓を思い出す……。

「俺はフルルだ!何だコノヤロー!……フルルらしくないな~。」

(いやでも)

思わず声に出した。

(フルルの……可愛い声でフルルらしさが出てるし……そして何より)

「ん~?///」


(どんなフルルも……大好きだから)


「……!んふふ~///」

思いきりイチャつくよ!

オフで誰もいない楽屋だもんね。



そう、フルルがどんな僕も大好きなように、僕もどんなフルルも大好き。

これほどまでの両想いとなると……

さばくでなくても熱くなっちゃうなぁ~。


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