第135話 退治

真夜中。

少し眠りから目覚めた時、どこからか呻き声が聞こえてきた。

「ぐ……う……お……」

(え……?ちょっとフルル起きて、何か聞こえない?)

「……ん~?何かって~?」

寝ぼけてるフルル。

「が……は……」

「あ、聞こえる……ってかこの声……あんかけ?」

まさかあんかけがセルリアンに……!

「行こう!?グレープ!」

(うん!)

僕とフルルはあんかけの声がする方向へ駆け出した。


「あんかけいた!あん……かけ……?」

あんかけはセルリアンに食べられていなかった。

「あ、フルグレ……どした?」

「こっちのセリフだよ~。どうしたの~?」

「いや……蚊に刺されてかゆすぎて……ロッジは蚊が多いから雪山に行くも寒すぎて水辺に……」

おおおいいいい……

僕とフルルはずっこけた。

「それくらいで暴れないでよぉ……ん?かゆいかゆいかゆい!」

フルル!?まさか蚊に……

「蚊を退治しよぉ!」

前言撤回早い!


「こうして私達3人は!」

え?僕も?

「モスキートバスターズ『チーム・アホ』となった!」

僕アホじゃないよ!


ってかあんかけってミライでは蚊も友達フレンズとかいう妄想してたけど意外と蚊嫌いだよね……。


「まずは武器を選べ!」

(僕は嘴!)

「嘴か~。」

「いいんじゃない?」

まあ鋭くて良さそうだしね。

「あんかけは~?」

「私はスプレーっていう物で倒す!便利だよ~。」

ただの筒にしか見えないが……中に何か入ってるのかな。

(……あれ、フルルは?)

「唐辛子!口から出る炎で蚊を倒す!」

「無理でしょ!」

「というのは冗談で……もちろんフルルも抵抗するよ?羽根フリッパーで!」

「え……武器使わずに素手とか、カッコいい……」

でも分かる。

(武器が見つからなかっただけでしょ?)

「うん……」

フルルが苦笑いを浮かべる。

「どした?」

「ん、何でもない。早く行こ~。」

ナイス誤魔化し。


そして蚊を探す……

(は、発見!)

少し焦ったが上手く嘴に蚊を刺し、倒す。

他のみんなは……

「よいしょ!」

「おりゃあああああ!」

順調か。


「……はぁっ、疲れた……。」

橋の上であんかけが倒れる。

「夜更かししてるからね~……。」

「……あ、そうじゃん!どうしよう、私規則正しい生活を送っているとってもいい子ちゃんなのにぃ~!」

自分で言うなよぉ……。

「もう寝る、お休み」

あんかけがついに寝た。

「じゃあフルルも~!」

えぇ!フルルがあんかけの隣に……

……じゃあ僕もフルルの隣で寝よっかな?

僕達3人は川の字になって寝た。


……気付くと朝だった。

フルルの隣にあんかけはいなかった。もう外の世界に帰ったのだろうか。

「……ん~。あれ~?朝だ~。あんかけいな~い。」

夜のことを少し思い出しながら僕とフルルは練習に行った。


「あら、フルグレ。昨夜は3人とも仲が良かったわね♪」

「え~?もしかしてフルルとグレープとあんかけの3人~?」

「ええ、誰か倒れてるから近づいてみたら3人が気持ち良さそうに寝てたわ。」

そうか……僕達は仲良し3人組なのか。



もちろん浮気はしないけど、友達がいっぱいいるのは嬉しい。

でも3人は少ないな……。

もう1人増えないかな、なんて。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る