第132話 花火

〈グレープ視点〉

「フルグレ、起きなさーい」

「ん~……眠い……」

僕も眠い。ずっと寝ていたい……

「パークで夏祭りがやってるらしいわよ?色んな物食べれるらしいわよ?かき氷、チョコバナナ、りんご飴……」

「行く~♪」

僕も僕も~♪……って、全部プリンセスの計算かぁ……。


祭りをやっている場所に着いた着いた!

色んなフレンズが屋台をやっている。

「ヒトが遺した『おもちゃ』らしいのです。」

「いりますか?いりませんか?」

「いるいるー!たーのしそー!」

あっちは博士助手のおもちゃ屋……

「そこのべっぴんフレンズさん、お面いるー?」

「べっぴんフレンズ……!……ふふ、人面魚もショウジョウトキの美しさを知ったのね」ドヤァ

あっちは人面魚?のお面屋……

色々な屋台に迷っている時……

「ゆきやまちほーの氷で作ったかき氷、いかが?」

「美味しいよ」

ギンギツネとキタキツネの声!そしてかき氷!

「食べる食べる~!」

「じゃあ私も食べるわ!」

「私もだ」「私もです」「俺も~」「私も!」

こうしてみんなでかき氷タイム!


僕とフルルは葡萄味を分け合って食べた。暑さも吹き飛ぶ冷たさ、たまらない!

他のみんなは……プリンセスはいちご味で、コウテイはレモン味で、ジェーンはオレンジ味で、イワビーはりんご味で、マーゲイはメロン味……か。

「みんなも食べてる食べてるぅ~!」

「あ、あんかけ~」

あんかけも来た。

「みんなで『ジャパリ夏祭り』、エンジョイしよー!」

「「「「「「おーーー!」」」」」」


その後も屋台の料理を食べ尽くした。

朝から夕方まで……

お腹は壊さなかったけど流石に食べるのにも飽きてきた。


「……あら、この店さっきも見たわよね?」

「もうお祭りほとんど廻っちゃったね~。」

そりゃ朝から廻ってたからなぁ……。

「まあこれから花火があるから帰らないでね~。」ススス

「ん?あんかけどっか行くの~?」

「は、花火がよく見える所があって……気にしないでね!」ダーッ

あんかけ行っちゃった……花火がよく見える所……?

「グレープ、ついていこ~。」

(え?何で?)

「何か隠してそうだから~。」

僕とフルルはプリンセス達が向かった方向とは逆方向へ行った。


〈プリンセス視点〉

「……あら?フルグレは?」

「あんかけについていったんじゃないか?アイツら、いつもボケッとしてるし。」

「そうね……まあ私達は、花火は正式な場所で見るけど……。」


〈グレープ視点〉

「あ、あんかけいた~。」

あんかけ発見。黄色いから分かりやすい。

「待たせたな」

「あ、来た来た。遅いなもうー。」

そこに……あの黒猫が来た!?

「あ、あんかけ~……」


フルルがあんかけに話しかけようとした刹那


パーーーン


花火が打ち上がった。

やがて数は多くなり、7色の花火は夜空に咲き乱れた。確かにここだとよく見える……。

(……綺麗だね、フルル。フルル?)

フルルはぼーっと花火を見ていた。フルルの瞳に花火が映る。それも綺麗に思えた。

僕とフルルは座って寄り添って花火を堪能した。

「あ、黄色と黒色の花火」

「僕とお前みたいだな。黄色があんかけで……」

「そして黒色が……


……イカスミ」


……え?今『イカスミ』って言った?そんな猫の動物……いた?


花火が終わってあんかけとイカスミ?に会おうとするも誰もいなかった。

でも、黒猫の名前はしっかりと耳に焼きついた。


「フルルー!」

「あ、プリンセス~。みんな~。」

そこにプリンセス達が迎えに来た。

「花火も終わったし、帰るわよ?」

「分かった~。」

僕とフルルはプリンセス達についていって、みんなで帰った。



あの花火は目に焼きついた。

あの名前は耳に焼きついた。

何故だろう、僕、黒猫に惹かれるんだよな……。

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