夏を、レッツ・エンジョーーーイ!

第129話 海原

〈グレープ視点〉

「みんな!今日は海に行くわよ!」

……え?

「この前行かなかったか?」

コウテイの言う通りだよ……。

「でもコウテイ、あなたいつも砂浜で修行しているじゃない……今日はコウテイも楽しめる海!そう、夏をエンジョイしましょう!」

「……成る程な。」

夏をエンジョイか……もちろん!


「海だぜー!」

イワビーがファーストペンギンに……。

みんなそれについていき、泳ぐ。

「あああああ気持ちいいぜ!」

「イワビー発狂しすぎよ……」

「ちょっと潜ってこようかな」

「ああ、行ってらっしゃい!」

「このまま波に身を任せよ~」

「私もこの衣装で参加です!」

エンジョイエンジョイ!

「あ、フルグレにはジュースを用意してあるわよ!」

「本当~!?」

やった!まあ夏場の水分補給は必要だからな!

「ええ、まあ用意したのはジェーンだけどね」

「はい!砂浜に置いてあるので一緒に行きましょう!」

「うん!」

僕とフルルはジェーンについていった。


「これです!」

そこには紫色のジュースが置かれていた。グレープジュースかな?

「これは~?」

「『すとろー』というらしいです。ここからジュースを飲めるのですが、2つの飲み口がある1つのすとろーは恋人が使うそうですよ?まあ夫婦でも使っていいと思います!」

確かにすとろーがハート型……。

「わ~い!グレープ一緒に飲も~!」

「どうぞごゆっくり♪」

僕とフルルは椅子に飛び乗った。

そして2人でジュースを飲み始めた。

「顔が……近いですね……♪」

ジェーンの言う通り、近い。顔がとにかく近い。


「では私は席を外し……あれ?」


ジェーンの視線の先には1羽のフレンズ化していないペンギンがいた。

「あなた……ジェンツーペンギン?」

ペンギンは頷いた。ジェーンと同じペンギンか……

「こんにちは、私はジェーン……」

ジェーンがペンギンに顔を近づけた途端だ。ジェーンの鼻にペンギンの嘴がついた。

「……!?」

「顔が……近いね……♪」

「フルルさん私の真似しないで下さい!?」


〈あんかけ視点〉

その様子を見ていた私……。

「この公式絵と同じ瞬間を見れたぜ!」

私が持ってる電子機器には、とあるヒトが描いた、ジェーンとそのジェーンの鼻に嘴をつけるジェンツーペンギンの絵が映っていた。


〈グレープ視点〉

「……えっと、もしかして私とお友達になりたいんですか?」

するとペンギンが鳴いた。ジェーンは相づちを打っている。やっぱり同じ種族のペンギンだと話が通じるんだ……。

「……そうですか!ならいいですよ♪ありがとうございます!」

「なんて言ったの~?」

ジュースを飲みながら様子を見ていたフルルがジェーンに問う。

「やっぱりお友達になりたかったようです!外の世界から迷いこんで来てしまって、仲間がいなかったようで……」

「成る程~。」

大丈夫、みんな友達、のけものはいない!フレンズフレンズ!


そしてまた海で泳ぐことにした。

ジェーンとペンギンは一緒に泳いでいた。

僕とフルルはただ波に身を任せてるだけだった。それも楽しかったけど。


そしてすっかり帰る時間。

みんな帰るのを少し渋っていたが、また来れるんだしと今日は帰ることにした。

ジェーンの友達はPPPには入らないから海の近くにある縄張りにいるそうだけど、きっとまた会えるとジェーンも海を後にした。

夕焼けに染まる海が遠くなっていく。

食べる桃味のじゃぱりまんは、微かにさっき飲んでたグレープジュースの味がした。

海……また行きたいなぁ。



また1つ、夏の思い出が増えた。

僕はフルルと飲んだグレープジュースの味を忘れないようにと心に決めた。

僕はお爺ちゃんだけど……きっと忘れない。

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