第126話 石垣(かえる)
朝起きたら……もうみんな帰る準備をしていた。
そうだ、今日で帰るんだ。
プールや海に入る素振りもないし昨日が沖縄のラストプール&海だったんだ……。
(あ、フルグレ、もう出るからじゃぱりまん食べながらついてきて。)
あんかけと家族は外に出た。僕とフルルはじゃぱりまんをくわえてついていった。
フロントでばすを待つ。
(うわ~また蚊にくわれた。でもこれも沖縄にいた証なんだなぁ。やっぱりちょっと名残惜しい。)
あんかけが外にあるシーサーを見たその時。
(あ、猫)
外に猫が歩いていた。その猫は歩いてまたどこかへ行ってしまった。
あんかけがその猫を見て何かを考えている。
まあ無理もない。その猫は『黒猫』だったから。
(やっぱり……帰ってやらないと、かな)
(え……?……一体、黒猫って何者なんだ。)
僕は思わず呟いた。それを聞き逃さなかったフルル。
「……ねぇあんかけ……結局ブーケトスの時の黒猫って何者なの?」
あんかけはそれを聞いて少し頬が緩んだ。
(アイツの許可なしには語れないからね、これは。まあもうすぐ語りたいんだけどさ。予定が空いたらロッジに来な。そこに私とアイツはいる。)
……まだ語らないらしい。
(あ、バスもうすぐ来るよ)
そして話はそらされた。
少し待ち、ばすが来た。
動き始める。
(……もう沖縄旅行も終わりか。私ゴロゴロしてたからかな、3泊が早く感じる……。)
「だね~。ひこうきに乗ったのが昨日みたいだね~。」
暑いと思っていたが意外と涼しかったちょっとした避暑地。
そんな沖縄エリア石垣ちほーとはお別れ。
あんかけの言う通りすごく名残惜しいなぁ……。
くうこうに着いた……。
昼御飯にじゃぱりまんじゃぱりまん。
「もうじゃぱりまんも少ないね~。」
「……あなたは本当にじゃぱりまんが好きなのね。」
「あ、プリンセス!みんな!」
フルルが振り返った先にはシーサーチームのみんながいた。そう、合流したのだ。
「色々なことがあったよね。」
「そうですね!ハブに出会ったり……」
「怖かったよなー。」
「でも楽しかったですよぉ!」
「なら良かったよー。」
「また自然と戯れようねー。」
僕達のチームの旅行はヒト寄りだったけど、シーサーチームの旅行はけもの寄りだったんだな。多分。
(あ、シーサー姉妹も飛行機に乗るよ。)
「うん。そうだよ。」
「あんかけの後ろ、しかも窓際だからみんなと会えるけどね。」
「着いたらみんなと一緒にジャパリパークに帰るよ。」
「だから楽しみにしててね。」
「「「「「「はーい!」」」」」」
こうしてあんかけとシーサー姉妹はひこうきに乗る場所へ、PPPとマーゲイはロケットに乗る場所へ行った。
「PPPノミンナ、オカエリ。ジャアミンナ座ッテネ。」
みんな座る。そしてロケットは走り、やがて浮いた。
沖縄エリアとお別れ……。
でもシャキッとしないと福が逃げちゃう。ライトが言ってた。
辛い現実はレフティみたいに受け止めないと。フルルがいるから充分幸せだけどね。
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