第121話 石垣(さんぽ)
目を覚ました僕とフルル……。
部屋には僕とフルルの2人きり。
(……あれ?あんかけと家族は?)
「いないね……あ、でもヘッドホンで話そう!」
……こんな時のヘッドホンか。遠くでも分かる。便利。
(……あ、フルグレ?)
「あんかけ。今どこ~?」
(ごめん、全然起きなかったから出かけちゃった。)
出かけちゃったじゃないよ出かけちゃったじゃ。
(あ、朝御飯のじゃぱりまん置いておいたから、それを食べながらじゃぱりまんと一緒に置いてある地図が示す場所に散歩に行きな。)
「ん?これ地図かな?」
フルルが紙を持つ。
(見た感じ地図でしょ)
「そうだね……分かった、散歩行くね。あんかけじゃあね~。」
(じゃあね~。)
そしてあんかけとの通話は途切れた。
「よし、行こ~。」
雨が降ってるけど暇だし行くことにした。ペンギンだから雨平気だし。
地図を見る限り近づいてきている。
「……ん?あの白いのかな?」
(あ、あれのこと?海に向かって伸びてるけど何だろう……。)
橋……かな?
僕とフルルはそこへ歩いていった。
「お~。海が綺麗~。」
確かに……透き通っていて、色も綺麗。
風が吹く。
「突き当たりまで行こ~!」
(突き当たり……ん?鐘がある。)
「こういうのは鳴らすと幸せになれるんだよ。今は充分幸せだけど……鳴らそっか。」
(うん!)
僕はフルルに抱っこされて鐘の紐に手が届いた。
せーので僕とフルルが鐘を鳴らす。
響く鐘の音。目を閉じて鐘の音をよく聴く。落ち着く。
「……幸せになった、かもね。」
(うん。……あ、魚。)
橋の下を見ると魚が……。
「じゅるり……」
(確かに海だから食べて良さそうだけど……)
「もしかしたら駄目かもね?……あ、地図濡れちゃってる!」
ええええ……ま、そりゃそうか……。今更手遅れだけどフルルは傘……なのか?傘のような物に入った。
白い柱に大きな笠を取りつけたような……?
そんな傘に……フルルと……
(……相合い傘だぁ)
「あ、そーだね……」
空は曇り雨が降っている。でも僕の心は晴れている。
フルルは地図を折り畳んで自分のポケットにしまった。
そして
「もうそろそろ行きたいけど相合い傘をやめたくない~……。」
と言いながら僕を抱っこして歩き出した。
相合い傘をしてなくても距離は近い。これでいいんだ。
「あれ~?あんかけ~。」
ほてるに帰ると丁度あんかけが1人で部屋に入るところだった。
(あ、フルグレ。私、今家族がいる隣の部屋から帰ってきたところ。ナイスタイミング!)
「ああ、家族多いから部屋2つに分けたんだっけ?」
(そうそう。ま、部屋入ろ。)
僕とフルルとあんかけは部屋に入った。
隣で微睡むフルル。
大丈夫、いつまでも僕達は幸せだよ。
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