第120話 石垣(ぷーるとうみ)

老人だけど……

僕はペンギン!泳ぐ!泳ぐ!

フルルの隣で泳ぐ!泳ぐ!


遊べるプールがあって、僕とフルルはそこで遊んでいる。

滑り台があってアスレチックみたいな。

あ、このプールのメインはバケツかな。上に大きなバケツがあるんだけど……水が溜まったらバケツがひっくり返って、溜まってた水が全部下のヒト達にかかる……的な面白い仕掛け。

「あ、バケツひっくり返るよ~」

お?来るか?


ザバーーーン


滝修行……っぽいな。

でもそんな僕達とは真逆で、椅子でダラダラするあんかけ。

多分怪我してるからつまらないんだね。うん。

でもさっきまで足はつけてたけどね。怪我したの足じゃないから。

(……あ、海行くよ)

お、海!

「行こ行こ~」


ああ……

やっぱり心が落ち着くなぁ。

綺麗な色。波の音。どこまでも広がる可能性。

海最高。

「遊ぼ遊ぼ~!」

また足だけ海水につけているあんかけをよそに遊ぶ……すまん。


(ペロッ、これは海水!)

アホなことしてるしやっぱり置いてきて正解だったか。

「グレープ~、泳ご~。」

(あ、うん!)

僕とフルルは手をつないだ。

怖くない。どこまででも泳げそう。もっと泳ごう。

僕はフルルの手を引っ張った。フルルがそれについていく。その時のフルルは……笑っていた。


「……ぷはっ、やっぱり海っていいね~。」

(お、ナイスタイミング。またプール行くよ。来て来て。)

「お~。分かった~。」

僕とフルルは海から上がりあんかけについていった。

足が砂だらけになった。

でも泳いだ時からつないでいる手は離さなかった。


アスレチックのない違うプールで泳ぐ。

このプールも良いな。

そして相変わらずのダラダラあんかけ。ついに暇すぎて帰ってしまった。

「グレープ~、ずっと手、つないでていい~?」

(う……うん!もちろん!全然いいよ!)

そんなことよりフルルだ。やった。すごい嬉しい。フルルの手って温かい。水の中でも分かる。

「えへへ~、まだまだ離さないよぉ~♪」

逆にいつ離すのか気になる。


プールが終わり、ゴロゴロしたら晩御飯のじゃぱりまんタイム。

ま さ か の ま だ ま だ 手 つ な ぎ。

いやね、嬉しいんだけどフルルと手をつないでいるから緊張している。後フルルの自由を奪ってないか心配。

でもフルルは……柔らかい笑顔を浮かべている。

困り顔もあまり見なくなったな。少し見たい気持ちもある。

ん……やっぱり桃味は甘い。お腹が満たされてゆく。まあ何個もあったら何個でも食べれるけど。そんな耐性がついたのはフルルのおかげだろう。


そして夜。もはや手をつなぐのが当たり前になってきた気がする。

(このまま寝るの?)

「もしかしたら寝ぼけて離しちゃうかもだけど……今日だけ、駄目ぇ?」

(んーん、いいよ。つないでいよ?)

「……うん、手はまだ離さない。」

フルル……フルルになら、ずっと甘えていたい。

(あぁ~フルグレいい。)

「あんかけは黙ってよぉ」

(あいよ)

でもね……僕達は1つのベッドに左から

僕 フルル あんかけ

の順に並んで寝る。この順はあんかけが考えてくれた。感謝……

(永遠に消えるなこの夫婦)

「だから黙ってってぇ……。」

やっぱり出来ないか。



こうして1日が終わった。

でも……まだまだこれからだ。

楽しんじゃおう!

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