フルグレ新婚旅行

第106話 行旅(すたーと)

「昨日のライブ良かったね~……」

部屋に寝転がるフルルが言う。

昨日は僕とフルルの結婚記念ライブがあった。みんなすごく頑張ってたな……僕とフルルの為に……本当にありがとう……

「疲れたよぉ……」

僕もだよ……今日は寝ようかn……

「フルル?グレープ?部屋にいるのね?」

「ん~?何~?」

フルル以外の声に名前を呼ばれて眠気がどっか行った。

この声は……プリンセス?

「えーと、声聞こえる?」

「聞こえるけど……何で部屋の遠くから話してるの~?」

「ふ、2人がイチャイチャしてたら悪いじゃない!」

あ、気遣いありがとう……

「そっか~。でも大丈夫~!」

「よ、良かった……」

遠くにいたプリンセスが部屋の入り口に来た。


「……で?何かあったの?」

「本で見たのだけど!2人、新婚旅行しない?」

「しんこんりょこー?」

「結婚したばかりの夫婦2人だけで旅行に出かけることよ!」

2人で……えへへ……

「いいの~?」

「新婚旅行だもの!結婚してすぐ行かなきゃ!」

「わ~い」

のんびりしたフルルの笑顔が可愛い……


「でもどこ行くの~?」

「私達が旅行したルートがいいと思うわ」

ああ、初めてのばすで旅行したな……あの時フルルと初めてキスして……

老人の僕でも覚えている。

温かい記憶……

「またゆきやまちほーとゆうえんちとろっじ行くの?」

「で、でも……私達がいないから……前の旅行とは違う感覚で楽しめるんじゃないかしら?うふふふふ……」オドオド

「どうしたのプリンセス~?」

めっちゃ動揺してるプリンセス……目をそらしながらやっと指さしたのは僕……

って……あ。

「グレープくっついて……」

僕、フルルにくっつきすぎていた。

「じゃあ新婚旅行はご自由にね!」ダーーーッ

「わ~行っちゃった……」

(ごめん……)

「いいのいいの♪新婚旅行行く前にもうちょっとくっついてよ~♪」

(うんっ)


ぎゅーーー


「楽しみだね~……これからゆきやまちほーの温泉に入って、ゆうえんちで遊んで。ろっじに泊まって帰る……グレープと一緒にいるのがフルルの幸せぇ……♪」

良かった。フルルの幸せが僕の幸せ。夫としての役割を果たせててる。嬉しい……。

「……そろそろ行こっか」

(もう行くの?別にいいけど。)

「ゴロゴロも最高だけど一緒にたーのしーことするのも最高だからね~♪」

(そっか~)

フルルは部屋の外に出て、ばすが停まってる所に向かって歩き出した。僕も後に続く。


「ここだ~!ボス、ばすを使うよ~!」

「任セテ。キミハ何ヲ見タイ?」

「ゆきやまちほーに行ってその後ゆうえんちに……」

「PPPノミンナデ行ッタ旅行ノルートダネ。分カッタヨ。ジャア、バスニ乗ッテネ。」

「分かった~!」

ボス、有能……みんな無能って言ってるけど何故だ?

そうこうしているうちにばすが出発した。風をぐんぐん切っていく。

「気持ちいい~♪」

(本当~……)

最近暑いから涼しい風は気持ちいい。

フルルもそれに喜んで優しい笑みを浮かべていて……僕も気付くと微笑んでいた。



この旅行でフルルといい思い出を作って……

もっともっとフルルを幸せにしてあげたいな。

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