第104話 夫婦

「暇だね~……」

太陽に照らされるフルルが言う。

(何しよっか?)

今日も練習はない。だから妻のフルルと日向ぼっこをしてれる……

「こういう時は……みずべちほーの水全部抜く大作戦!でしょ?」

(あ~、覚えてる!梅雨入りの時か!)

「良かった……覚えてた♪」

フルルの笑顔と腕輪とチャックが輝く。フルルは僕と結婚してチャックを紫色に染めたくなったらしいけど、全部染めると宝物と被っちゃうから、チャックの小さい部分だけ紫色にしたらしい。

染めるのに協力したあんかけは『チャックの小さい部分だけ染めて腕輪つけて……外の世界のツーショットパネルと同じ姿になったね♪みんなはチャックの色分かったかな?』とか言っていたが……ささだんごが見ていたツーショットパネルのフルルもチャックの小さい部分だけ紫色だったのか?外の世界って不思議だな。僕はあの動物園の外を知らないし、外の世界には知らないことの方が多い……

そんなことを考え無言の時間が過ぎてゆく。


フルルが口を開く。

「なんだかいつも通りほのぼのだね~……」

確かにミドリデン事件でドッタンバッタンだったね……でもジャパリパークの本当のドッタンバッタンは違う。ジャパリパークの本当のドッタンバッタンはたーのしードッタンバッタンだもん……

(そうだね。前と変わらない……)

「でもフルルとグレープが夫婦になったことが……前までと違うところだね……」

(そっか。でも夫婦になってもほのぼのは変わらないね。)

「そうだけど……夫婦って何すればいいんだろ?」

僕も夫婦になったからには何かしないといけないとは思っていたが……何をすればいい!?

「うーん……ここで考えてると……」

何か考えが!?

「暑い暑い暑~い!」ザパーン

……そっか日向ぼっこ中だったか。ごめんフルル。そう思い僕も水に飛び込んだ。


「ほゎ~涼しい!……あ、グレープ飛び込んできた!」

(フルル~!)

僕はフルルに向かって泳ぎ……

キスした。

「……!」

(……♪)

しばらく経ち……

(……こういうことかな?)

「……そうだよ!夫婦になったんだから!これから毎日しよ!」

それはフルルがしたいだけでしょ……という言葉は飲み込んで。水と一緒に飲み込んで。

(お~毎日……嬉しいな~♪)

「良かった~……」

フルル、波に流されてる……僕もついていく。

しばらく波に身を任せて泳いでいると……

「お腹空いた……」グー

お腹空いてきた。

(うん、僕も……じゃぱりまん食べよっか)グー

「じゃあ先に帰ってるね」ダーーーッ

速!何故先に帰った!?まさかサプライズ!?

僕も部屋に帰ることにした。


「さぁ、じゃぱりまん?水泳?それともフ・ル・ル?」

(……へ?)

何か聞いたことが……

「言いたかっただけ……じゃぱりまんどうぞ♪」モグモグ

(あ、ありがとう)モグモグ

こうしてまたじゃぱりまんを食べる……ほのぼのしていて好きな時間。やっぱり夫婦になっても変わらずでいいんだ。



僕とフルルののんびり結婚生活は始まった。

絶対……絶対ずっと幸せでいる。やくそく!

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