第103話 披露(こうへん)

大きなケーキを分けてみんなが食べている。幸せそうだな。まあ僕の方が幸せだろうけどさ。

「ここで友人代表スピーチがあります。まずは新婦友人代表、プリンセス。」

「はいはい!」

助手の声でプリンセスがステージに立つ。

「みんな!ロイヤルペンギンのプリンセスよ!フルル、グレープ、結婚おめでとう!」

「ありがと~」

プリンセスの声からは喜びが溢れていた。

「フルルと初めて出会った時……私がPPPのメンバーを集めていた時ね。フンボルトペンギンがいて嬉しかった。だからPPPのメンバーにさせたけど……天然でマイペースで。動きもゆっくりだし本当何がしたいのか分からない娘だったわ。でも!色んな曲を歌っていくうちに、歌も上手くなったし、天然なところもやっぱりアイドルだわ、と感じるようになったの。」

プリンセスはフルルのお母さんになったかのように語る。

「フルルに恋人って言われた時は驚いたけど、今はフルルとグレープの幸せを願っているわ。アイドルが恋愛禁止なのは外の世界。ここはジャパリパーク、優しい世界なのだから思う存分結婚生活を楽しんでね。もちろんアイドルも頑張ってもらうからね!」

「うん!」

「ふふ……今まで色んなことがあったわよね。グレープのステージデビュー、ペンギンの日のプレゼント、ああ。旅行もあったわね。フルルとグレープがデートしたり、特訓したり、イベントを頑張ったり。梅雨の遊び大会もいい思い出……これまでの思い出はフルルとグレープがいたから生まれたのよ。感謝するわ♪そしてこれからもよろしくね。色んな思い出を作って、2人とも仲良くしてね。以上!」

拍手が起きる。プリンセスの言葉にフルルは少し泣きそうになっている。


「続いて新郎友人代表、あんかけのスピーチです。」

「はーい!」

あんかけがステージに上がる。

「皆さん、あんかけ焼きそばPです!2人とも、結婚おめでとう。グレープがフルルと結婚出来て良かった。」

ほ、本当だよ……

「本当に良かったよ。だって……グレープは1回妻に裏切られたカコがあったから……普通フンボルトペンギンはつがいになったら離れることはないのに、グレープは裏切られた。それで独りぼっちだったんだよね?」

僕は頷いた……もちろん辛かった……でも。

「でもフルルのパネルが設置されて、それに恋をした。それが有名になって自分はグレープの存在を知ったんだよ。」

僕……やっぱり有名だったのか……

「フルルのこと、ずっと見つめてたんだよね?どんな日もずっとずっと……でもある日グレープは死んじゃって……パークに来て、フルルと再会した。自分はグレープがパークに着いたのが見たくて来たら……フルルとすごく仲良しで、妻のトラウマも忘れてそうで、嬉しかった。だからこうしてフルルと結婚して妻のことを忘れているのも嬉しい。」

安心して……トラウマは吹き飛んでるよ。

「グレープ、フルルと幸せにね。ずっとずっと仲良しでいるんだよ?自分も大切なフレンズを幸せにするからね……以上!」

拍手が起きる。あんかけの大切なフレンズ……?まあいいや。


歌タイム!やくそくのうたをフルルが歌い、PPP全員で純情フリッパーも歌った。フルルパートがいつもより力が入っていたのはもちろん僕と結婚したから……だよね?やくそくのうたを歌っている時、フルルの顔は赤かったからね。


そして念願の自由時間、フルルがケーキをたくさん食べる。

「美味し~♪」モグモグ

フルルの幸せな顔見てると僕も幸せになってきた……あ、あんかけの大切なフレンズも幸せかな?あんかけの方を見たら……

あんかけとあの黒猫が楽しそうにしている……黒猫はあんかけの大切なフレンズ……?

「どうしたの~?」モグモグ

(あ、何でもない)

「そっか~」モグモグ

そう……今はフルルとのイチャイチャタイムだから……!


でもあっという間に披露宴の時間は過ぎて、みんな解散。今日は練習はないそうなのでそのまま寝床へ向かう。



夫婦になって初めての睡眠。

この前よりフルルが温かく思える。

幸せそうな寝顔……フルルも幸せなのかな?そうだったらそれでいい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る