第97話 原因
僕は気付くととしょかんにいた。何で……あ、そうか。セルリアンから避難するついでにこの異変について博士に訊こうと思ったんだ。ミドリとデンカのことばかりで道中は……フルルに抱えられたことしか覚えてない。
「博士~?助手~?」
「何ですか?このセルリアン騒動についてですか?」
博士が降りてきた。
「お~。そうそう。」
「もう有名なのね……」
博士は助手も降りてきたのを確認すると説明し出した。
「まず、あのラスボス的なセルリアン……外見が何なのか分かるですか?」
「ミドリとデンカ……だよね?」
何だ……フルルはちゃんと分かっていたのか~♪……と甘えている場合ではない!
「そうです。ミドリとデンカのセルリアン……ミドリデンとでも呼ぶです。」
「上手いです助手。」
「いえいえそちらこそ。」
博士と助手がお互いを褒め出した途端。
「博士、助手?質問。」
「何ですかあんかけ?」
あんかけが質問し出した。
「デンカは亡くなったけど……ミドリはこっちの世界で……東武動物公園で……生きているんです。」
「「「「「「ええ!?」」」」」」
PPPのみんなとマーゲイが驚く。僕も驚いてるよ?
「何でパークにいるんですか!?」
「……ミドリデンがどうやって生まれたかに関係ありますね。」
博士がミドリデンがいると思われる方向に目を向ける。それきり博士は無言。しばらく沈黙が続く。
「……博士、代わりに説明しましょうか?」
「……お願いします」
「えー……我々はミドリデンの偵察に行きました。分かったことが2つあります。1つは獲物は逃さない心を持っているらしく、我々が近づいたらすぐ反応して、ビンタを繰り出し、我々は……石を壊せませんでした。」
「……それ関係あります?」
あんかけが口を挟む。
「あります。2つ目の分かったことを訊けば……2つ目は……」
みんな唾を飲む。
「あのミドリデンは……フルルとグレープがとしょかんに来た時、グレープがなくしたと騒いでいた腕輪を……通常のセルリアンが体内に取り込み……進化して生まれたのでしょう。」
「「「「「「「えっ」」」」」」」
みんな声を出す。
「恐らく最初からしていた腕輪はミドリとデンカのトラウマよりグレープのフルルへの想いの方が強かったのですが……腕輪が2つに増えてミドリとデンカのトラウマがそこに移ったのでしょう。そしてセルリアンがそれを食べて……フルグレへの怨念の力で獲物を逃さない心を持ったのでしょう。」
(……僕のせいだ。僕が腕輪を落としたから……)
「グ、グレープは悪くないよ!腕輪を落としたからって……」
「そうよ。悪いのは私よ。あんな時にとしょかんに呼んで……」
「違う!悪いのは自分。早めに腕輪を渡しちゃったから……」
としょかんの中がマイナスの空気で満たされる。居心地が悪い。どうしよう。助手が困っている。
「……こんなことになるから言いたくなかったのです。」
博士もご立腹……そんなマイナスの空気はフルルの一言により和んだ。
「へ?悪いのはセルリアンじゃないの?」
「「「「「「「「え?」」」」」」」」
「だってセルリアンが腕輪を食べて進化したんだから……違うの?」
「……ふふ、そうね。悪いのはセルリアンかもしれないわね。」
みんな笑い出す。博士と助手まで微笑む。和やかな空気になってくる。
「そのミドリデンを倒す為、我々の指示をよく聞くです。」
「忘れないようにしっかり覚えるのです。」
博士と助手は急に真面目な顔になった。
「まず、我々はミドリデンを倒せません。ミドリデンが怨念の力でサンドスター・ロウをばらまいているらしく……セルリアンが大量発生しています。なのでフルグレとあんかけとかばん以外は大量発生したセルリアンの退治を。」
「今からかばんを呼びに行くのですが……フルグレはあんかけとかばんと作戦を練ってミドリデンに立ち向かって下さい。」
「……うん!」
その返事は熱意と決意が溢れていた。
こうして僕達はミドリデンの異変に立ち向かうことにした。
アイツらはただの『トラウマ』でしかないが、実物だと思って。
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