ちょっとしたフルグレの危機
第91話 特訓
「さあ、練習を始めるわよ、うふふ」
僕達は集まった……だが嫌な予感がする。プリンセスが不気味な笑みを浮かべているからだ。
「おいプリンセス、どうしてそんなに笑ってるんだ?」
「よくぞ訊いてくれたわね、うふふふ」
「引くぞ?」
「引くの?」
イワビーから笑顔が消えた。どうやら引いたかららしい……
「まあ何で笑ってるかと言うと、猛特訓するからなのよ」
「猛……」
フルルからも笑顔が消える。すごく困っているのが分かる。
「早速開始よ!」
みんな定位置に……
「歌と踊りを一緒にして、完璧になっても何回も練習するわ!まずは『人にやさしく』以外のみんなで歌う歌!」
「「「「「空は飛べないけど 夢のツバサがある」」」」」
みんな何回もライブをしているからか上手い。だけどもっと上を目指そうとしている感が伝わる。僕ももうちょっと上手くなればなぁ……
「ここのステップで力を入れすぎて歌が続きません!」
「リラックスして踊ればいいのよ♪」
「泣いたり笑ったり Pop People Party……っと、本当ですね!」
みんな自分の欠点を一生懸命直す。そして完璧な歌や踊りに仕上がっていく。
「出来てきたんじゃないか?」
「そうね。1回通してみましょう!」
そして『大空ドリーマー』を何回も繰り返す。みんな上手いけどフルルの歌はやっぱり上手い。たまにフルルしか見えなくなる時もあるから結構ヒヤヒヤ。それでも僕は踊りを一生懸命頑張る。
「みんなで歌うのはここら辺にして、次はソロ曲ね!」
「フルルねフルルね、歌が上手くなった気がするの~!」
「そう?フルルは前から歌が上手いけど……じゃあ『やくそくのうた』から聴こうかしら?」
上手くなった理由は……きっと僕の為に毎日歌ってくれてるからだろう。おかげで毎晩耳が幸せです。
「心の中のきみは いつも笑ってる」
みんな最初のフルルの声を聴いて、唖然としている。
そして歌はクライマックスになって、それでもみんな口開きっぱなし。
「一緒に過ごす幸せは ずっと変わらずに 続いてゆくから そばにいてね これからも」
自然と拍手が起きていた。
「フルル、こんなに歌が上手くなっていたのね?」
「うん♪」
「人気投票もフルルが1位だったし……このままだとフルルに人気が!私達も負けてられないっ!」
でもきっと第2回人気投票やってもフルルが1位だろうね。フルルはとにかく可愛い。見た目が可愛いのが一目惚れの原因だけど、いざ本物と会ってみると中身も可愛い。嘘が上手いとかサイコパスってよく言われてるけど僕にそんな認識はない。天使ってイメージ……
そんなことを考えているうちにみんなもソロ曲練習をしていた。熱心にしているのはフルルの綺麗な歌声を聴いたからか?
「最後は『人にやさしく』の練習!楽器用意!」
ドラムはのほほんとしている。ぼーっとしていて少し困り顔。でも……
「「「「「気が狂いそう」」」」」
フルルのドラムさばきはすごい!みんなノッている。フルルも若干タレ眉だが体はノッている。元気が出る曲。これも何回も練習している。
練習が終わる頃にはみんな汗だく。
「お疲れ様……猛特訓はこれで終わりよ。みんな頑張ったわね♪」
みんな少し照れくさそう。
「もう夜か……じゃぱりまん食べて寝ないとな」
「じゃぱりまん~」
じゃぱりまんは部屋にあるってことで部屋のを食べてそのまま部屋で寝る……って考えか?
僕とフルルはじゃぱりまんを食べて寝た。
子守唄に『やくそくのうた』を聴いた。まるで天使の歌声。僕は気持ちよく寝れた。
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