第81話 友達

「……」

「どうしたのですか?」

「あ、いや、何も……」

分からない。スナネコを許してしまった理由。

「あ、もしかして失敗ばっかだったんですか?」

「ただ気が変わっただけ」

「そうですか」モグモグ

スナネコは素っ気ない返事をしながらじゃぱりまんを頬張る。いつも食べている茶色いじゃぱりまんだ。

「そっちは……みずべちほーはさばくちほーから離れていたが大丈夫か?」

「大丈夫ですよ。じゃぱりまんもいっぱい食べて満足……」

そう言ってじゃぱりまんを食べる手が止まった。後で保管しておくのだろうか。うん、いつも通り飽き性だこいつは。元気ということがよく分かった。


……じゃあ何で飽きずに俺についてきてくれたのだろう?


「……ツチノコ?やっぱり失敗したんですか?」

「ち、違う!」

スナネコは座って「ツチノコも座って下さい」と俺の足下を指した。俺も座った。

「落ち着きましょう。全て正直に話して下さいよ。」

ここまで言われたら悔しいが言うしかない。

「……そうだよ!フルグレを撲滅しようとして……でも出来なかった……」

次の瞬間、スナネコから驚きの言葉が出てきた。

「ツチノコはえらいですね。」

「な!?何で……」

「自分の目標に進むのはいいことです!」

「……だが、失敗に終わっちまうしスナネコにも迷惑かけちまうし……」

「平気ですよ。もうその辛さも冷めたし。ツチノコは優しいですね。」

「ち、違う!あのまま放っておいたら俺が見殺しにしたってことになるからしょうがなく助けただけだ!///」

顔が熱くなるのが分かる。悟られまいと横を向くが、スナネコはじっとこっちを見る。

「と、とにかく!もう解決ってことで!」

「そうですか」ケロッ

「お前ぇぇぇぇぇ!」


……毎日同じことが繰り返される。スナネコが飽きて、俺が怒る。

でも飽き性の彼女は何故飽きない?そういえば毎日遺跡に来てこんな俺と美味しいじゃぱりまんをたくさん食べたりたまに2人語り合ったり……


きょとんとした顔のスナネコ……俺は思わず言った。

「お前、飽きないのか?」

「……ふふ」

それだけで伝わったらしい。そしてスナネコは……

「僕、元気なツチノコといると飽きません!なのでいつまでもくよくよしてないで辛いカコには飽きて下さい!」

急にこんなことを……!

「なっ!///」

いつものきょとんとした顔とは違った彼女の笑顔が、さばくちほーの太陽のように眩しい。

「えへへ、やっぱりツチノコは僕のフレンドです♪」

「ま!まあ友達だとは思ってるが決して1番大切だとは!///」

「はいはい」

こいつ……信じてない……

「まあ……つまりはこれからもどうかよろしくね。じゃぱりまんどうぞ。僕は眠くなってきたです。」

「早く寝れば?」

「はい。」

そう言ってスナネコは遺跡から出ていった。


……何故帰してしまったのだろう?また会えるって分かってるから……?

「……なんてな!スナネコに貰ったじゃぱりまん食お!」モグモグ

やけ食いみたいになってしまったが美味しいからOK!半分しかないのが玉に瑕だが……ん?半分?それに……これ茶色いじゃぱりまん……まさか……

「これスナネコの食べかけじゃねーかぁぁぁぁぁ!」

「満足……」

トンネルに俺とスナネコの声がこだまする……あのヤロー……



呆れたが……あいつは俺を止めてくれた。そこら辺は感謝する……

俺は、いつもと変わらない日々を過ごそうと思った。

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