第80話 帰宅
「「「「「~♪」」」」」
PPP全員、鼻歌練習か……のんきでいられるのも今のうちだぞ。フルグレ……
「お腹空いた~」
「あなたいつもお腹空いてるわね……いいわ」
こっちに来る。ヤバイ。逃げなくては。俺は咄嗟に逃げた。
フルグレが出てくる。
相変わらず仲良しなようで、フルルはグレープを抱っこして出てきた。何だか邪魔したくなってきた。今日はいっぱい邪魔するぜ!
まずは大量ワサビじゃぱりまん……食べたら辛すぎて辛すぎてうろたえるだろうな!受け取れ!
ポイッ
コツン
「ん?何これ?じゃぱりまん……?」
食え食え……
「でも葡萄味じゃないよね~」
は?葡萄味?あいつら葡萄味じゃないと食べないのか!?また失敗かよ……でも今日、チャンスはいっぱいある!
「あったあった葡萄味~」モグモグ
「グエ~」モグモグ
幸せそうに食べているではないか!ウザいウザい。この前は1人だったけど今回は2人のじゃぱりまんを盗ってやる。
「……」ダーーーッ
「……ん!?あ!じゃぱりまんが!」
へへ、どうだ!じゃぱりまんは俺が持ってるぜ?追いつけるもんなら追いついてみろ♪
「……グレープ、口の中に残ってない?」
は?
「……そうか。残ってないか。残ってないなら……」
なっ!あ、あいつら、キスし出した……!
「……これくらいしか残ってないけど食べて?」
フルルの口の中に残ってたから口移ししたのか……くそぅ、ますます腹立ってきた!
「くわ……」
「グレープ眠そうだね~。時間になったら起こしてあげるからちょっと寝てな?」
「グエー♪」
あ……グレープ、そっちに倒れたら……
「あ、膝枕だね……♪子守唄を歌ってあげるね♪」
ふざけんな!邪魔してやる……
「また会いに行くよ 遠くたって きみがくれた夢をこの手に」
は……
「ねえ どんなきみも 大好きだよ 全部 伝えるんだ」
な……な……
「一緒に過ごす幸せは ずっと変わらずに 続いてゆくから そばにいてね これからも」
……俺の中に色々な気持ちが浮かび上がる。
やっぱりリア充撲滅は無理なのか。優しい『やくそくのうた』を聴いている悪な俺は恥ずかしくないのか。歌といえばスナネコもよく歌っているな。スナネコは今どうしているのだろうか……
胸の辺りがぎゅっとして押し潰されそう。
俺がしていることはやっぱり間違いと……その気持ちが教えてくれた。
「……フルル。」
俺はフルルを呼んで、フルルに近づいた。みずべちほーの静寂に下駄の音が鳴り響く。
「ん~?あ!ツチノコ!久しぶりだね~、フルル達のライブの練習の見学に来たの?ならプラチナチケット持って……」
「グレープにやさしく、な?」
「……へ?当たり前だよ~?」
「ならいい」ダーーーッ
下駄に慣れてる俺はそのままさばくちほーへ一直線に駆け出した。
あんなこと言って……照れ屋な俺が照れなかったのが不思議だ。
さばくちほーの遺跡に辿り着いた頃にはヘトヘト。
なんとか保存しておいた水を飲んで荒れてた息は戻った。
暑いさばくちほーにある涼しい遺跡。俺はいつもここで生活している。1人が好きだからだ。
「ツチノコ~!」
「あ"ぁ"!?……なんだスナネコか」
……あれ?
俺は1人が好き。
なのに何故スナネコを許してしまったのだろう?
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