第63話 甘味

「「「「「空は飛べないけど 夢のツバサがある」」」」」

「「「「はぁ……はぁ……」」」」

僕も練習疲れた……

「まだまだね!こんなんじゃ空は飛べないわ!」

「ペンギンもいつかは空を飛ぶの~?」

「大空を制すのが目標でしょう?まあそれまで飛んだで我慢しなさい」

「どこで飛んだ気分になれるの~?」

「こうざん……とかじゃない?優雅にこうちゃを飲んでぱんけーきを食べて……あ。」

プリンセス、もう手遅れだ。フルルの瞳はぱんけーき一色に染まっている……

「練習終わらそ!」

「まだ続くから我慢しなさい……」

フルルはしぶしぶ練習を再開した。


「……はい、今日の練習はこk」

「ばすー!ボスをこうざんにー!」ダーーーッ

「逆よ!」


ばすがこうざん方面へ向かう。

「このボスは言うこと聞いてくれるからいいよね~」

(あれ、そういえば何でボスなのに言うこと聞いてくれるんだ?)

「……ペンギンの色だからじゃない?」

(そういうことなのか……?)

そんななにげない会話を繰り返すうちにこうざんの麓に到着。


「ろーぷうぇい……頑張る!」

今日のフルルはいつもより張り切って……ぱんけーきのお陰か!

「ぱんけーき♪ぱんけーき♪」

可愛い!


「……はぁ……はぁ……」

(もうすぐだよ!)

「着いたぁぁぁぁぁ……」

(後はかふぇまで一直線!)

「レッツゴー♪」


フルルがかふぇのドアを開く。

「んー?あぁ!フルルちゃんとグレープ君じゃないのぉ!」

「フルル達ね~、外の席でぱんけーき食べるの~」

「ぱんけーきかぁ!かばんちゃんつれてこないとねぇ……」

これもかばんがいないと食べれないのか……

「外の席座ってぇ!あたしとトキちゃんでかばんちゃんつれてくるよぉ!」

「分かった~」


かふぇに突如訪れる沈黙。

「……今はショウジョウトキもいないから2人だね~」

(うん……)

「暇だね~……景色見ようか~」

(あ、空飛ぶ気分になれるんだよね……)

「うん♪」

僕とフルルはしばらく景色を堪能した……


「ただいまぁ!」

アルパカ達が帰ってきた。

「……」チラッ

「かばん?どうしたの~?」

「あぁ、もしイチャイチャしてたら悪いなと……」

「ぱ、ぱんけーき食べよう!///」

「それもそうですね。今作りますね♪」


「お腹すいたな~……」

「でもいい匂いがするわよ。」

「ショウジョウトキもいい匂いにつられて来たんですけど!」

「ふふ、1曲歌いたくなるわね。そうだ、あなたの『やくそくのうた』歌っていいかしら?」

「いいよ~。こうちゃは飲んでるんでしょ~?」

「飲んでるわ。じゃあ……

またーーー会いーーーに行くよーーー何度だってーーーきみがくれたーーー夢ーーーをこーーーの手にーーー」

「……やくそくのうたというよりぃ」

「やけくそのうた~」

「ブッフ!」

関係ないショウジョウトキが吹いた!


「出来ましたよ~!」


「わーい!頂きま~す!」モグモグ

一口食べたフルルの顔は幸せに満ちている。

「美味しい!グレープもどうぞ、あーん♪」

(あーん♪)パクッ モグモグ

柔らかい食感と口に入れたらすぐ分かる甘味がたまらない。

ぱんけーきが巷で噂のスイーツになるのもおかしくはないし、かふぇが巷で人気のスポットになるのもおかしくない。

「こうちゃにもあうんですけどー!」

「どっちもおかわりよ」

「はい!」「はいよぉ!」


「ごちそうさま~!また来るね~」

「いつでもおいでよぉ!」

「また私の歌、聴いてね」

「やけくそのうた……」クスクス

まだ笑ってるのか……

僕とフルルはろーぷうぇいとばすでみずべちほーに帰った。



ぱんけーきはとても甘かった。

でも……フルルと一緒に過ごす幸せの方が甘いと思う。

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