第59話 漫才

「はぁー……もうライブも終わりね」

ただいまライブの〆のトーク中。

「今日のライブも楽しかったぜ!」

「楽しかったよね~、あれ!」

「いやどれだよ!」

お客さんがみんな笑う。

「フルルさん……イワビーさん……」

……ジェーン?ジェーンが少し困り気味……


「ライブお疲れ様ですー!良かったですよぉ!フヘヘッ」

「ありがとう!」

「汗だくです……あ、皆さんの歌声綺麗でした!PPPが歌ってるかと思いました!」

「ジェーンどうした?急にボケた?」

ジェーンめっちゃしっかりしてるのに何故急に……

……まさか


「フルルさんとイワビーさんの漫才的なのが人気なので……私もやってみようと思います!」


「ジェーンが!?」

真っ先に反応したのはコウテイだった。

「だってジェーンは……純情可憐で……清く正しくて……最高の乙女じゃないか!漫才なんて似合わないよ!」

「それはありがたいけどお客さんの笑顔の為です!何でもします!……あ、エッチなのは駄目です!それと無茶ぶりも!」

「『何でも』なのにめっちゃ制限してくるじゃねーか!」

だからイワビーツッコんじゃ駄目なんだって……

「取り敢えぇぇぇず!練習しましょう。」

「あ、分かったわ……」


「はい注目!ここのステップをやってみるわ!こうしてこうしてこう!」

「甲子園甲子園行こう?ですか?」

「勝手にして……」

もうやめろ!プリンセスのライフは0だ!

「まずいなこれ……」

やっぱりコウテイもそろそろ我慢の限界か……

「ジェーン……もうやめないかー?」

「うるさいですよ!ヘッドホン燃えてるくせに!」

「いやこれ柄だから!」

「うるさい!」

「すまん……」

「ジェーンって絶対裏とかあるよね……」

ほら、コウテイも嫌がって……いや嬉しそうだな!やっぱりマゾか!


「ソロ曲の練習!」

「ねーねージェーン!」

「フルルさん何ですかあああああ?」

「ジェーンのソロ曲聴きたいな~」

「唐突ですね……まあこれは本気で歌いますよ!」

……何でだろう?フルルが一瞬ニヤリと笑った気が……何故?

「Let's Go アイドル!Hello Hello!アイドル 届けます きらめき

1・2・アイドル!Hello Hello!アイドル とびきりの私を見てね」

合いの手パートは飛ばし……

「憧れていたステージの上で みんなの視線集め 今日も 歌にダンスにトークに キュキュンとハート狙いうち」

ここまでは普通でいられたが……

「純情可憐が乙女のモットー…… 清く……正しく……それがポリシー……グスッ クルリ……と……ターン……決め……るの……ウッ いっしょ……!」

「ジェーン!?どうしたの!?」

「私は……悲しくなんかないのに……このままボケていようと思ったのに……!」


「……ジェーン。フルルがソロ曲を歌わせたのはこれが狙いだよ。ジェーンは正統派アイドルのままが1番だよ!」


「フルルさん……分かりました、私……一生懸命頑張ります!」

うん……ジェーンが正統派アイドルに戻ってくれて良かった……いやあのままだったらお客さんに引かれちゃう……

まあ取り敢えず……

(フルルありがとう!)

「……えへへ」



ほらね?フルルはちゃんとやる時やるから……

だからボケても馬鹿にはしないでほしい。

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