第55話 長所

「「「「「「ようこそジャパリパーク!」」」」」」

今は『ようこそジャパリパークへ<PPP with マーゲイ>』の練習中。

マーゲイは……結構歌が上手い。

「ふぅ……マーゲイも歌上手くなったんじゃない?」

「そうですか!?あぁ、プリンセスさんに褒められたら……あっはははー!」ブシャー

「鼻血……」

「あ……」

え?

「そっか……」ボソッ

いつもと違う……いつもは引かれても気にせず鼻血を拭いて練習再開……なのに今は……

「どうしたのマーゲイ?」

「……休憩させて下さい。」

「え?」

マーゲイは急に出ていった……


「はぁ……またやっちゃったわ……きっと嫌われているわよね……つい興奮してしまうのどうにかできないかしら……」

「そーゆーことだったんだ……」

「そうよ……ってフルルさん!?グレープさん!?」

「ついてきちゃった~」

僕はフルルについていっただけだけどね……

「あなた達は私が嫌いでしょう!放っておいて下さい!」

「本当?じゃあ放っておくよ~。……フルルとグレープは、ね。」

「その言い方……他にも誰かいるんですか!」


ガサガサ


「……。パリパリパリパリ」

「パフィン!?」

また呑気にじゃぱりちっぷすを……

「今度はパフィンちゃんが隠れて登場して……マーゲイさんを元気づける番でーす!」

あ、やっぱりマーゲイの事ちゃんと考えていた……

「私のことなんてどうでもいいですよ……」


「どうでもよくないです!確かにマーゲイさんは変態で……気持ち悪いのかもしれませんが……パフィンちゃんはそう思いません!パフィンちゃんのこと可愛がってくれるし……優しいじゃないですか……しかも好きなことに夢中になれるのはいいことですよ!

きっとみんな……探せば『長所』は見つかるはずですよ……!」


「……!」

「パフィンちゃんのこと救ってくれたのはマーゲイさんですよ!あの時のマーゲイさん……笑顔でした……」

「……ごめんなさい。私、勘違いしていたのかも……」

「いいのいいの~」

フルルもフルルで優しい……

「……パフィン、ありがとう……」


ぎゅっ


……PPPのみんなは『さん』付けで呼ぶのにパフィンだけ付けないで呼ぶのは……きっとパフィンはマーゲイにとって特別な存在だからだな……

「……帰りましょう」

「そうね……」

「元気のジャパリチップスをプレゼントしまーす!」

「あ、ありがとう!」

こうして4人でみんなの元へ戻った。


「皆さんただいま……」

「マーゲイ!どこ行ってたの?みんな心配したのよ!」

「……!」

俯くマーゲイの耳が微かに揺れる。

「……皆さん。」

「な、何よ?」

「……こんな私を必要としてくれてありがとうございます。」

マーゲイは前を向き、泣きそうな笑顔で言った。

「え?あ、当たり前じゃない!何を言ってるの?」

「そうですか……では皆さん、練習を続けましょう!」

「あ、続けた方がいいかしら?」

「私、本番が毎回毎回楽しみでっ……」タラー

「マーゲイさん鼻血出てまーす♪」

「あぁ、失礼!」

「「「「「「あはははは!」」」」」」

そしていつも通り……やっぱりいつも通りが1番だなぁ……



僕は僕のままでいい。

背伸びしなくたってフルルは僕を好きでいてくれる……

今日はそんなことを知った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る