第39話 日向
「今日はいい天気だね~」
としょかんからみずべちほーに戻ったPPPとマーゲイはばすに乗って僕を運んだ。
フルルはこんな時でもマイペースだけど……決して僕がどんな状態かを知らないわけじゃない。むしろ僕を元気づける為のものじゃないか?
「さあ、もうすぐ着くわよ!」
懐かしい景色……そう、ろっじはあの旅行以来だからなぁ……
「あ!PPPの皆さん!ロッジアリツカへようこそ~!今日はお泊まりでよろしいですか?」
アリツさんが笑顔で出迎える。
「博士と助手がステージを使っているからそれが終わるまでここに……」
「え?でもフルルさんとグレープさんって穴の部屋を造ったんじゃ……」
「私とコウテイとジェーンとイワビーとマーゲイがいる場所がないわ……」
「成る程……ではお部屋をお選び下さい!」
アリツさんはこの前と同じくしゃしんを出した。
「今日は天気がいいからグレープと日向ぼっこしたーい!」
(あ、僕も)
「じゃあフルルさんとグレープさんはお部屋『みはらし』でいいですかね?」
「みんないいー?」
「「「「「いいよ!」」」」」
僕達はみはらしに行った。
あの後他のみんなも部屋が決まったらしい。プリンセスとイワビーとマーゲイがしっとり、コウテイとジェーンがふわふわ。コウテイとジェーンは前と変わらないな……
「あー気持ちいいー……グレープもおいでよー!一緒にゴロゴロしよ~……」
(うん!)
僕はフルルの方へ行った。
(……確かに気持ちいい。)
穏やかな春の風、少し眩しい日の光、そばにいる彼女……
この春が終わったら夏が来るのかな……夏は1年の中で1番いい思い出が創れるんじゃないか?
(あーでも今、夏じゃないのに暑い……)
「少し暑いけど……運動会は暑い方がいいよね~……」
(え?運動会とかあるの?)
「博士と助手が話してたよ~」
じゃぱりまんを頬張りながらフルルが言う。
フルルは天然マイペースなようで周りはちゃんと見えてるんだなぁ……
(運動会楽しみだね!)
「あ、グレープ笑った!さっきから笑ってなくて心配だったの……」
(え!ごめーん!)
「(……あはははは!)」
僕とフルルは2人で笑いあった。とびきりの笑顔で。
……気づけばミドリの悲しさなんて忘れてる。まだミドリは心の中にいる……けど、いつか心の中からいなくなる日がやってくるだろう……
「お昼にしよ!」
(うん!)
……あれ?今食べてたのにまだ食べるのか……
もぐもぐもぐもぐ
もぐもぐもぐもぐ
「君いっぱい食べるね……」
「新作の参考になりそうですか!先生!」
「まあ……一応その幸せそうな表情頂き!」
幸せそうな表情……
「美味しい♪」ニコッ
(……)キュンッ
フルル……ミドリより可愛い。
そんなフルルより可愛くないミドリが心の中から消える日が来ますように。
僕はフルルと一緒に願った。
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