第38話 故障

「スポットライト?ですか?」

僕達は今、としょかんにいる。ステージのスポットライトの調子が悪いから博士と助手に直してもらえないか頼んでいるところ。

「そうなの。ずっと色が変わらないの。ずっと桃色なのよ。」

何故?……あ。

「プリンセスのイメージカラーは桃色です。プリンセスの仕業じゃないのですか?プリンセスだけスポットライトを浴びたくて……」

「私のは桃色だもの!それに比べてスポットライトは桃色!私じゃないわ!」

「では他のメンバー……」

「私は黄色だぞ?」

「私は橙色です!」

橙色……デンカ……うっ!

「グレープ平気!?よしよし!」

「……あ、俺は赤色だぜ!」

ビールの赤ぁぁぁぁぁ……

「グレープ!……あ、フルルは紫色~」

「……いや待てよ?紫色はグレープに変わって、フルルが桃色……」

「「「「フルルが犯人!?」」」」

……僕は手を挙げた。それを確認したマーゲイも手を挙げた。

「「「「え!?グレープとマーゲイ!?」」」」

「「お前ら!?何でですか!」」


マーゲイはうつむいて全て話した。

「……実は、ミドリをまた思い出してしまったグレープさんを元気づけようとスポットライトを一旦設定したんですよ……ずっと薄い桃色に光るように……でもそろそろライブで使うから戻そうとしたのですが戻らなくて……」

「いやそれグレープ悪くないじゃないですか!」

(でも僕がミドリを思い出さなければ……)

僕がそう言った途端、フルルは僕の頭を優しく撫でてくれた。

「……悲しい事は誰にでもあるよ。それを乗り越えれればいいんだよ。」

……フルルの笑顔に泣きそうになった。

プラスに考えれば……ミドリと別れなければフルルと出会えなかった。

かと言ってミドリには絶対に感謝出来ない……どうしよう……あ……


バタッ


「グ、グレープ!グレープ!?」

フルルの声が聞こえた瞬間、僕は眠った。


…………


「……プ……グレープ!」

(……フルル?)

「あー良かった~……グレープ目を覚ました~……」

僕はとしょかんの中にある布団に横たわっていた。

「……で、博士。どうしてグレープは倒れたの?」

「疲労ですね。最近疲れていませんか?」

僕は頷いた。悪夢を思い出してしまうから疲れているんだ……

「しばらく安静にした方がいいでしょう。」

「じゃあみずべに!」

「ただし……スポットライトの修理をする為、楽屋等は使えません!」

「ちょいっと修理するだけじゃないの?」

「部品が多いのです。そこで練習したら部品踏みますよ?」

「じゃあろっじに行きましょうか。」

急に冷静になった……

まああそこにはアリツさんがいる。今は愛鳥週間で、アリツさんは鳥のフレンズだしちょうど良い。

「ろっじに行くわよー!」

「「「「「おー!」」」」」

PPPとマーゲイはそう言って僕をろっじに運んだ。



僕はいつ緑色を忘れれるのだろう?

今はただフルルと仲良くするしかなかった。










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