第9話 旅行(ろっじ)

何も見えない暗闇に灯りが1つ……2つ……

あれがろっじか。よく見ると、通過した時のろっじと形が一致した。

「あれがろっじでしょうか?」

「お、俺には暗くてよく見えないぜ……」

「私は夜行性なので!」

そしてばすは停まった。


「あ!PPPさんじゃないですか~!ロッジアリツカへようこそ~!今日はお泊まりでよろしいですか?」

「ええ!お願いするわ!」

「えーと7名ですからお部屋の数は……」

「あ、フルルとグレープは1つのお布団で寝るよ~」

「じゃあ3部屋ですみそうです!こちらのしゃしん?を見て下さい!こちらのしゃしんがお部屋『ふわふわ』です!水の中で暮らすフレンズさんにぴったりですよ!そしてこちらのしゃしんがお部屋『しっとり』です!穴で暮らすフレンズさんにぴったりです!そしてそして!こちらのしゃしんがお部屋『みはらし』です!木の上で暮らすフレンズさんにぴったり!」


「私はふわふわがいいわ」

「私もだ」

「私もです!」

「じゃあ……ふわふわはプリンセスさん、コウテイさん、ジェーンさんで決まりですね!」

「俺はロックにみはらしだぜ!」

「あ、私、木の上で暮らすので私もみはらしにします!」

「じゃあみはらしはイワビーさんとマーゲイさんで決定です!フルルさんとグレープさんはしっとりでよろしいでしょうか?」

「いいよ~フンボルトペンギンの夫婦は穴で暮らすし~」

ふ、夫婦!?まだそんな関係じゃ……

「分かりました!ではついてきて下さい~」

……そうか、僕の言葉はフルルにしか分からないんだった。


こうして全員部屋に着いた。しっとり……しゃしんの通り『THE・穴』って感じ。適度な湿気、適度な暗さ……落ち着く。

「ふわ~お腹すいちゃった~」

(あ、晩御飯食べる所があるから……まだ僕達が持ってきた方はあるけどろっじのを食べる?)

「うん!折角ろっじに来たもんね~」

(プリンセスに自由に行動していいって言われたから……行こっか!)


「ここで晩御飯食べれるの~?」

「はい!晩御飯だけじゃなく朝御飯も昼御飯も食べれますよ!」

「へーすご~い!」

「何にします?晩御飯は普通のじゃぱりまんしかありませんが、食べますか?」

「じゃぱりまん食べる~」

(僕も!)

「じゃあ2人分でお願いしま~す」

「かしこまりました!」

……晩御飯?朝御飯か昼御飯には普通のじゃぱりまん以外にも何かあるのか?


「やぁ、そこの君達。このろっじに泊まるなんて勇気があるね。」

「あ、そ、そうですね!先生の言う通りですぅ!」

「ん?あなた達は……」

「名探偵アミメキリンです!」

「私は作家のタイリクオオカミ。君達はこういう話を知ってるかい?このろっじに泊まると真夜中にセルリアンの咆哮で目が覚めるんだ。だが、目を覚ましてしまったが最後。セルリアンの世界に閉じ込められてしまうんだ……」

「えー!怖~い!」

(セルリアン?)

「フレンズの敵だよ~!」

「オオカミさん!嘘ばかり言わないで下さい!」

「アリツさん、バラしちゃ駄目だよ~あはは」

「……へ?嘘?」

「ごめんね、いい表情かおいただきたくて。ありがとう。」

「んー……なんか知らないけど嘘なら平気だよ~!怖かった~」

「……立ち直りがすごいですね!」

「……キリン、君もだよ。」

「そうですか!?」

「「「あはははははは」」」


(お休み~)

「……ごめんね、フルル嘘ついてた。本当は嘘でも分かった今でも怖いんだ~……」

(……怖かったら僕を頼ってよ。僕はフルルに再会できた日から、フルルの為に生きていこうと考えたから……だから僕を頼って。)

「……! ……ありがとう!」


ぎゅっ


うわっ

「えへへ、このまま寝かせて。」

(……いいよ!)

「わーい!」



薄暗がりに少し輝いて見える彼女は眠りについた。

悪魔達ミドリとデンカなんて忘れてしまえそうな天使のような笑顔で。


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