第2話 舞台

あれから一日。もうPPPにも慣れて、呼び捨てで呼び合う仲になった。まぁジェーンとマーゲイは「さん」付けで呼んでくるけど。


今日もレッスンが始まった。僕が踊ると思ったフレンズも多いと思いますが、僕は年の関係で踊れません……でも、恋は年齢なんて関係ない!僕に生きる価値はあった!

「ダメダメ!全然ダメ!」

うわっ

「どこがいけないんだ?」

「踊りが小さいわ。もっと大きく踊らないと!」

「そう言われたって分かんねーよ……ステージの広さとか……」

「……それもそうね。1回ステージを見てみる?」


おお……ステージっていざ立ってみると結構広いな。

「ここにあなたがこう並ぶから……」

「あ……やっぱり大きく踊って平気なんだな」

「万が一ぶつかっても気にせず踊ってね!」

「でも少しここら辺に何かあって欲しいなー。なー。」

「フルル、無茶言わないd……そ、そう?じゃあ……」

流石プリンセス。メンバーのことをよく考えてるな。きっとフルルは……

「グレープにしよ~」

「踊りはキレキレじゃなくていいから。無理はしないでね」

僕は首を縦にふった。僕はこういうジェスチャーも得意だ。

(これもサンドスター?の影響かな?)

「そっか、グレープ、サンドスターの事知らなかったね~」

「それどころかジャパリパークの事大半知らないですよ!……ちょっとずつ、覚えていきましょうか」

僕はまた首を縦にふった。サンドスターすご……


「さぁ、そろそろ戻るわよ!新メンバーも加わった事だし」

「グレープ加わったー わーい」

「ほら、あなたも集中!あなたはアイドルなのだから!……フルルはアイドル?あ」

「どうしたんですか?」

「……図書館の本に『アイドルは恋愛禁止』っt」

「そ、それは外の世界の事です!ジャパリパークには関係ありません!全く関係ない事ですぅぅぅぅぅ!」

「……マーゲイ、鼻血」

「はっ!」

……びっくりした。いやー、本当にジャパリパークに来て良かった。謎の声、ありがとう。


「さぁ、練習練習!本番は明日なんだから!」

僕もみんなに合わせて踊った。キレキレじゃないけど。

「あれ、グレープ初めてなのに上手いわね……」

(あ、皆さんの見てたので。)

「みんなの見てたからだって~」

「それもフルルのばかりだろ?見てたぜ!」

(えっ)

図星……僕はいつもフルルの踊りばかり見てた。それをイワビーに見られてたとは……気付かなかった。


(あ、練習練習!)

「練習したいって」

「じゃあ合わせるわよ」

「~♪」

「……フルル、その鼻歌はやくそくのうたでしょ?」

「あ、ごめーん」

フルル……彼女は鼻歌を間違えた。まるで僕に自分のダンスばかり見られていたのに喜びを感じたかのように。


本番当日。

「やっぱ少し緊張するわね……」

「気絶しないようにしないと……」

「そうですね、特にソロ曲……」

「ロックもいつまで持つか……」

「誰かじゃぱりまん持ってなーいー?」

1羽だけ違うこと言ってるぞ。だがそれがいい。

「では、行ってらっしゃい!」


ライブは楽しかった。僕の紹介でお客さんが盛り上がったり、フルルのソロ曲を熱心に聞く僕に気付くお客さんがいたり、僕の踊りをよく見てくれたお客さんがいたり。最高のライブになった。

「疲れたねーじゃぱりまん食べよー」

僕はいつも飼育員に『あーん』してもらうまで餌を食べないようにしてた。だから、今度はフルルにしてもらう事にした。



じゃぱりまんは美味しい。元の味なのか、フルルに『あーん』してもらってるからかどうか分からないが。

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