桃色に紫色ってあうよね

あんかけ(あとち)

第1シーズン 付き合う

2羽は仲良し

第1話 再会

……最後まで僕を見ててくれた名前の知らない彼女が遠ざかってゆく。僕は今飛んでいる。これが昇天ってやつか? 「もう彼女に会えない」 そう思ったその時。 「グレープ君はジャパリパークに行ったんだよ」「フルルに会えてるといいなぁ」 ジャパリパーク?フルル?なにか聞こえてくる。訳が分からぬまま僕は真っ逆さまに落ちていった。


…………


はっ!ここは?

静寂を破る海の音、雲1つない青い空、そして……

「「「きゃーーーペパプーーー!」」」

!? なんだ今の!?

「私の『THE・コウテイペンギン』な歌、どうだっただろうか?」

ペンギン……?待てよ……あの声、「フルルに」と言っていたな。まるでフルルってヒトに僕を会わせたいような言い方だな……そしてペンギン……


まさかフルルってヒトじゃなくて!


僕は川を見つけた。さっきの歓声が聞こえた方に伸びている。僕は泳いだ。何故か体が軽くなった気がした。やっぱりだ。間違いない。フルルは……


「さて、次の曲行くわよ!フルルで『やくそくのうた』」

「ふぁ~い」


ザバーッ


遠くからでも分かる。あれは彼女……いや、フルルだ。

「みんな~フルルのソロ聴いてね~」

どいて……みんなどいて……! 僕は最前列に来れた。でも今から歌うらしいから邪魔はしなかった。

「~♪」

正直聞き惚れた。そしてその歌は、何故か僕に語りかけてるような気がした。


「あぁっ、ライブ、上手くいってるみたいですねぇ~」

「マーゲイ、少し怖いわ……」

「ご、ごめんなさいプリンセスさ……ん……? あっあれは!」

「どうしたのマーゲイ?」

「紫の腕輪……間違いない!」

「???」


こうして歌は終わった。さて、フルルに……

「フルルさんに会いたいですか?」

えっ!だ、誰……?猫?

「グレープさんですよね?有名ですよ!フルルさんに会いたいならこちらへ……」

えと……フルルに会えるなら……

僕は『マーゲイ』と名乗る猫についていった。


「ただいま帰りました!」

「どうしたの?急に出ていって……」

「ペンギンを連れてきました(ドヤァ)」

あ、どうも……お辞儀をしたら、みんな食いついてきた。

「可愛いわね~!私もこんなだったのね」

「だが……フレンズ化してないぞ?」

「聞いたことがあります!フレンズ化する動物としない動物がいるって……」

「でもサンドスターの影響は受けてるからヒトっぽい動作は出来るんだなー」

フレンズ……?サンドスター……?また分からない用語が……


もぐもぐ


「フルル~、食べてんじゃねーよ……」

あ、あそこで何か食べてるのがフルルかな?


もぐも……


あ、目が合った。

「え……グレープ君だよね……?」

「フ、フルル? ちょ、どういう事?」

「あ、私が説明します!」

マーゲイは全てを話した。僕の悲しい過去とフルルへの恋……それはペンギンにも分かりやすい内容だった。ただ、僕が求愛していた方はパネルで、僕を抱いた方が本物だと知った時は驚いた。

(僕、てっきり逆だと……なんか申し訳ない。)

「大丈夫だよ~」

!? エスパー!?

「フルル……グレープ君の言葉が分かるのか?」

「うん、コウテイには分からないと思うけどね~」

「同じ種類だからでしょうか?私はそもそもペンギンじゃないので分かりません」

「そりゃそうだぜ!」

「「「あははははは!」」」



ここに来て良かった。とても温かいものを感じる。僕は悲しい過去を忘れさせてくれた彼女に


(ありがとう)


とみんなには聞こえない声で言った。


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