第7話 狂愛の舞踊

みずべちほー


ジェーンはこの地でPPPというアイドルグループに属していた。しかし、ある日突然、皆は眠ってしまった。


そして、自分は後からそれに気が付いた。

しかし、時すでに遅く背後から何者かに襲われた。


今に至っては記憶が曖昧だ。

ただ、シリウス様に仕えて、スター

ガーディアン達を倒すまでだ。



悪夢に魘されるメンバーを一箇所に集める。もう、皆で歌っていた頃には戻れそうにない。


「プリンセス...」


自身の太腿の上に頭を乗せて、撫でながら、呟く。


しかし、彼女に人情は無いに等しい。




「なにこれ...」


サーバルは息を呑む。

PPPのライブ会場はテロリストが乗り込み、銃を乱射した後の祭りの様に、フレンズが倒れていた。


「全員、ほしのかがやきを...」


かばんが呟いたあと、キュイーンという耳を貫く鋭い音がした。


「この音は...」


フェネックは怪訝な顔を浮かべ、ステージを見た。


「今日は特別公演...、ジェーンのスペシャルライブへようこそ...」


マイクでしゃべっているのに、よく聞き取れない。


「あなた達に特別席を用意しました…

夢世界まで起こし下さい...」


と言うと、鏡の中へと消えた。

ステージではマーゲイが眠っていた。


「ジェーンの攻撃は音波だった...

フェネックさんとサーバルちゃんは

観客達の輝きを取り戻して、

僕とアライさんと博士は、ジェーンを止める...」


博士は助手の手を強く握った。


「博士...」


「長として...、やらなければ…」


苦しそうな声だった。

リカオンを1度殺めてしまったことが

心に大きくのしかかっていた。


「無理しないでください...」


「博士、助手は私たちに任せて」

サーバルが言った。


「...はい」


サーバルとフェネックは観客のかがやきを取り戻しに、かばんとアライさん、博士はジェーンのいる夢世界へと向かった。




「ようこそ...、特別ステージ」


ジェーンが毅然として立っていた。


3人は同時に変身し、臨戦態勢を取る。


「さ、始めましょうか...」


(ここは夢世界...、大丈夫なのです...)

ゴクリと息を飲んだ。


「最高のショー見せてあげる...」


ジェーンは躊躇することなく黒い飴玉を

口の中に入れた。


すると、後ろ髪が跳ね上がり黒い影に包まれた。白く目が光る。

不気味この上ない。


「アライさんと僕でジェーンさんを何とかします。博士さんは援護してくださいっ。ここは、“夢の中”ですから」


かばんの指示に頷いた。


あのエレキギターを取り出す。

五線譜の攻撃に気を付けなければいけない。


思いっきりギターを弾いた。


「アライさんっ!」


「わかったのだ!」


飛んでくる5本の線を剣で切り裂く。

それと同時に炎をかばんは放つ。


ジェーンに向かってた炎はギターの音波で掻き消された。


(炎での攻撃は意味が無い...、けど

気を引くためには...)


と思った矢先、ジェーンは後に下がる。

地中から4つの黒い飛行物体を放った。


「...うわっ!!」


「のだあっ!?」


二人に向かう。

あれが突き刺さったら大ダメージを喰らう。


後ろで博士は咄嗟に矢を射った。


4つの矢は黒い影に向かい、そして命中した。

博士の能力でもある強い電流が流れる。


光を放った黒い影はかばん達の目の前で、墜落した。


「えっ」


かばんは思わず声を上げた。


「あ...」


アライさんも間の抜けた声を出す。


目の前で倒れているのはPPPの4人のメンバーだ。全員矢が刺さっている。


黒い飛翔体の正体は、なんとメンバーだった。


後ろから様子を見ていた博士は不安になる。


「どうしたのですか...」


かばんとアライさんは黙ったままだ。

もどかしさを覚えた博士は駆け寄る。


それを察知したかばんは、


「来ないで!」


後ろを振り向き、強く言い放った。

しかし、見てしまった。


「....」


言葉も出なかった。

リカオンを殺めた次は、PPPのメンバーを殺めた。


「は、博士さん!落ち着いてください!これは夢で...」


博士は黙ったまま弓をジェーンに構えていた。


魔夢化した彼女はギターを思い切り弾いた。五線譜の攻撃だった。


「サンダーフェニックス...」


一本の矢を放つと、電流が不死鳥の形となり、一直線にジェーンへと向かった。


もちろんギターを盾代わりに構えるが

その矢はギターどころか、ジェーンの

身体ごと貫通した。


魔夢化したジェーンの身体は跡形もなく消え去った。

その技の威力の強さをまじまじと見せつけられた。


かばんは再度博士を見た。


「は...、博士さ...」


「うるさいっ...!」


彼女の乱暴な言葉を初めて聞いた。

そして自分達に矢が向けられている事に気付く。


「何するのだ!?」


「私は...、またフレンズを殺した!」


目に涙を浮かべながら、必死に声を出す。


「魔法とか、星の守護者とか、どうでもいいのです...」


かばんはその雰囲気に飲まれ何も言えない。


「何でっ!何で私だけ!フレンズを殺さないといけないのですかっ!

...どうせ死ぬんなら、一生悪夢に取り憑かれ続けていた方がマシなのです!

お前らがいるから、フレンズは死ぬのです!余計なことをするから!」


「は、博士さん...、取り敢えず落ち着いて...」


「お前らがいなくなれば私はフレンズを殺さなくてすむのです!お前らを殺してやるっ...!」


リカオンのショックと今回の出来事で

精神が崩壊してしまった。


「馬鹿なマネはよすのだ!

博士がやらなきゃ、助手は助かってないのだ!」


「何でその使命を私に背負わせたんですかっ!こんなこと、するんじゃなかった...!」


「博士さん...、その矢を下ろして...」


「元々の元凶はお前らなのです!」


構えた矢の電流の光が強くなった。


「消してやるのですっ...!」

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