　呂雉様が、皆自身の保身のために、しんがりをするのが嫌ならば。自分自身が劉家のために、命を投げだし、しんがりをしても良いと述べたら。

　劉邦（赤帝）は憤怒し始め、怒りをあらわにしながら。『好きなようにしろ！』と、呂雉様に述べたのだよ。

「えええ、あなたに言われなくても、妾の好きなようにやらして頂きます……」

　売り言葉に買い言葉とは、まさにこの事だと、此方も思ってしまった。

　そして、その後此方が思った事は……。

　この夫婦はもう終わった？

　と、思ったのだよ。

　だって、お互いが労りあうのが夫婦だと思うから。

　う～ん、でもね、この夫婦は、お互いを労りあうと言うよりも？

　憎しみあっているようにも見えるよ。

　だから、呂雉様──くるりと後ろ向き──。

　劉邦（赤帝）に、「あなた、さようなら……」と、言葉を小さく漏らすと。自分自身の両足を動かし始めた。

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