第87話 項籍・項羽と韓信! (56)

 そして少し間が空くと、韓信様を何度も快く解放をしてくれたの事を思い出した。


 いつも笑みを浮かべながら韓信様に手を振り見送る籍なのだが。良く籍の顔を凝視してみると──。


 いつもね、籍自身の目だけは潤んでいるのだよ。本当に今にも溜まった物が溢れそうなぐらいに……。


 そんな覇王籍の様子をふと、韓信様は思い出すとクスと笑みを浮かべた。


 そして少しばかり気持ちも高ぶり前向きになった。それこそ? 恋する乙女のようにね。


 そして韓信様は自身の心の中でこんな事を思い始めたよ。


(……項羽の愛する覇王はどんな男性ひとなのだろうか? この間の様子だと大変なお人好しの殿方だとぐらいは分かるけれど……。う~ん、あのひとは劉邦とは違って、私を生涯大事にしてくれて可愛がってくれるだろうか?)


 と、なるともう駄目だね。此の度の韓信様は女性だから、パソコンのモニター画面の外で相変わらず辺りを見渡し──挙動不審な行動をしている覇王籍の事が気になって仕方がない。


 だからまた、うふ、っと笑い。「可愛いおヒト」と、声を漏らしたのだ。


 と、言う事は後は籍次第だ。


 よぉ~し! 頑張れ籍!


 お前の欲しい女性はもう手のひらの上に乗っかっているのだから。後は君次第だ!


 だからもう、天井や辺りを見渡す──挙動不審な行動はやめて、パソコンのモニター画面の中を覗いてみようよ!


 さすればネイビーブルーの髪色した美しいダークエルフの女性が、君に女神の微笑みをくれると思うからね。





 ◇◇◇◇◇





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