第63話 項籍・項羽と韓信! (32)

 でも? この世界の項羽様は、女性だから情も深いから。


「でっ、でもぉおおおおおおっ! 籍ぃいいいいいいっ!」


 悲痛な顔をしながら叫び、籍に呼びかけるのだよ。


 う~ん、それでも籍は覇王妃様に。


「俺は大丈夫だからぁああああああっ! 心配をしなくてもいいぃいいいいいいっ! それよりもぉおおお、頼むよぉおおお、羽ぅううううううっ! 愛しているからぁああああああっ! ここで何とか踏ん張ってぇえええ、韓信を撃退してくれぇえええ、お願いだからぁあああああああああっ!」


 籍はに自分の下にはくるなと、それより韓信の隊を撃破しろとね。


 それも覇王妃様のような悲痛に満ちた表情ではなくて──。


 笑みを浮かべながら叫んでいるよ籍は、高らかな声でね。


 でッ、に言葉を言い終えると──自身の気を再度奮い立たせ、右腕に持つ戟を振るい舞始めたよ。


 刹那──。


 籍へと攻撃を仕掛けていた敵の兵達から数名から直ぐに断末魔が聞こえ始めた。


 う~ん、どうやら籍自身は? 今の自身が置かれている状態……。


 樊噲はんかい曹参そうしん夏侯嬰かこう えいの隊に取り囲まれて孤立奮闘をしていても全然気落ちをしている素振りはないようだよ。


 どちらかと述べれば? 今の危うい状態を喜び楽しんでいるようにも見える。


 と、なると。今度は何処からともなく。


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