第37話 項籍・項羽と韓信! (6)

 と、一度 "籍" は言葉を止めて──。再度韓信を強い眼差しで凝視をしたよ。


 絶対に韓信を解放する気はない。


 それどころか? 今日から韓信彼女を自分の所有物にするのだと!


 強い意志が彼には表れているからね。


「分かったかい! 韓信!」


 と、 韓信彼女に対して、名指しで命令を下した──。


 それも語声を強めての命令だよ。彼の鼻息だって荒々しいぐらだから。


「そこを何とか、お願いしします。閣下……。武士の情けだと思って、此度だけは解放をしてください。閣下……。この御恩は消して忘れませんから。此度だけは何とぞお許しを閣下……。お願いします……」


 この後は平に平にと……。


 彼女は画面の中から "籍" に膝先ずき──何度も深々と頭を下げて嘆願をしたのだ。


「ええええええっ! どっ、どうしようかなぁ……?」


 籍は韓信彼女の嘆願を聞き言葉を漏らすと──。


 チラッと彼女の方へと視線を送る。


 すると、そこには? 美しい褐色の肌色した韓信彼女の自尊心を投げ捨ててまでの、へりくだって謝罪をする哀れな姿が目に映った。


 そんな様子の彼女を見ると──。


 男である "籍" はついついと、『どうしようかなか~?』と、韓信彼女に対しての慈悲の気持ちが湧いてくる。


 彼は男の子だからどうしても仕方がない……。


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