51 二十九日目 帰りのフェリー

 ターミナルが開いたのが八時ごろ。

 オレたちは待ち合い室に入って、並んだベンチに寝転んで仮眠を取った。


 フェリーが出るのが18時。ベンチの上で寝たり起きたりを繰り返し、昼飯に売店のカップ麺を食べ、友人や家族への土産を買った。


 17時、搭乗の合図があって、オレたちはバイクで乗り込んだ。

 フェリー特有の窓付きの風呂に入りながら、旅の疲れを溶かしていく。


「何考えてん?」


 湯船に浸かりながら海を見ていると、鉄朗が聞いてきた。


「特に何も」とオレは正直に言った。

「そっちは」

「もう旅も終りやなぁって。思わん?」

「爺ちゃんに話したら、終わった感じするんかもな」

「なるほど。それが始まりな訳やしな」


 風呂もほどほどに、オレたちは寝台へ戻り、深い眠りに入った。

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