45 二十六日目の2 雨予告

 泊まらせて貰えることになった小料理屋に戻って来ると、定食を用意して待っていてくれた。酒を呑むかと勧められたが、未成年なんで、と断る。


 夕食を食べていると、屋久島に雨が降った。強い雨だったが、三十分もすると止んだ。と思いきや、二時間もするとまた降り出す。


 店主によれば、屋久島は一ヶ月に四十回雨が降るという。


「そら大変ですねぇ」


 とオレは相槌を打ちながら、なぜこんな厳しい土地に住んでるのかと思った。もちろん言葉にはせんかったが。


「縄文杉の道中も降りますか」と鉄朗が聞く。


 降らない方が可笑しい、と返答があったので、眠る前にカッパを忘れないように傍に置いて眠ることにしたが、そこで気が付いた。


「股間んとこ直すん忘れてた……」


 オレはカッパを広げながら言った。去年、北海道で無惨にも穴が空いたカッパ。

 鉄朗は「めっちゃ懐かしいやん」と言いながらグヘグヘ笑った。


 雨が降らんかったらええが、と願った。

 無論、叶わんかった。自然は常に容赦が無かった。

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