武器探し


城内を右へ左へと駆け回り、やたらと大きな扉の前に出た。


「ここよ!」

「うげっ武器だらけ!?」


扉を開けるとそこには多種多様な武器が無造作に置かれていた。

足の踏み場もなく、剣や刀などが鞘から抜けているものもある。


「ここが看守室だって?」

「見取り図だと看守室のはずよ。けど実際はただの押収室としか使われていないようね」


ロロナは地図で確認をした後それをポケットにしまう。

カイムは山のように積み上げられている武器を手に取り、自分の刀を探す。


「私も手伝うわ。どんな形をしてるの?」

「ありがとっス。刀なんだけど、鞘が白くて、刃に風って文字が彫ってあるっスよ」

「わかったわ」


正直二人で探しても見つけられるか分からない量の武器が山積みされている。

しかも、探している最中に抜き身の刃で怪我をしてしまいかねない状況だが、そんな事を気にしていると城内の兵士達に気づかれかねない。

急いで探してみるものの二人は見つけることができず時間だけがすぎてゆく。

集中しているためか互いに無言で武器と武器がぶつかりガチャガチャする音だけが室内に響き渡る。

カイムは一息つくようにため息を漏らしてぼやいた。


「あー見つからないっすね」

「流石にこの量の中から探すのはきついわね」


沈黙が流れる。

カチャカチャと刀を探す音だけが室内に響き渡り、少しばかり気まずい空気が流れ出す。

会話がないのは互いのことを知らないということが大きいだろう。

カイムとしては初対面の相手とでも割とすぐに仲良くなれる方なのだが、なにやらロロナの雰囲気がそわそわとしていて、気安く話しかける事がしにくい様子だった。

しかしそんな沈黙をロロナが破った。


「ごめんなさい!」


急に大きな声を出してロロナが頭を下げる。



「えっなに急に!?」


当然の反応だ。

カイムからすれば謝られる筋合いが見つからないだろう。


「あなた森の中で倒れていたでしょ?」

「あー、まあ」


倒れていたというか力尽きて寝ていたという表現の方が正しい。

人から見ればそのように見えたのかとカイムは考えたが、なぜ彼女はそのことを知っているのかという疑問がカイムの中に残った。


「じ、実は昨日ヘマをして教会兵に見つかって逃げていたんだけど、その時にちょうど倒れているあなたを見つけてこのペンダントを置いたのよ。」


ロロナは申し訳なさそうな態度で、その時の出来事を説明し出した。


「なにそペンダント?」

「レジスタンスのシンボルよ。私達が何かしらの行動をする時は敵味方がわかるように首からぶら下げて見えるようにしておくの」


そのペンダントは三日月を二つ重ねたような形をしている。

どういう意味があるのかカイムは聞いてみようかと思っていたが今はそれどころではないし、無事にここをやり過ごしてから聞いてみようと思った。

すると扉の外からドタバタと騒音が聞こえる。


「ヤバっ!」


ロロナが小声で口を塞ぐ仕草をする。

カイムは辺りを見渡す。

部屋には窓がなく、出入りをするなら入って来た扉しかない。

今外から兵士に入り込まれたら、袋の鼠だ。


「しょうがないっスね。ちょっと暴れてくるから探しててもらってもいいっスか?」


カイムは落ち着いた様子でその辺においてある刀を二本を拾う。

「暴れてくるって何する気!?」


出入り口の扉に手をかけたカイムにロロナは出来るだけ小声で問いかける。


「なに、ちょっとした眠気覚ましの準備運動っスよ」


そう言ってカイムは扉の外へと出ていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る