王城

ロロナがスティンガーとカイムの手錠を魔術を使い外した。

すると天井の空いた穴から二人の仲間と思われる男が顔を出した。


「リーダー、お嬢!そろそろ撤退しないとまずいですよ!」

「わかってる。はいリーダーの武器」


そう言ってロロナがスティンガーに渡したのは小柄な脇差のような刀だ。


「あなた看守に取られてるものある?」

「刀が一本っス」


神器エクスカリバーは闇に飲み込まれる前に弾かれて何処かへ落としてしまったが、それとは別に刀を一本帯刀していた。

だが今その刀も手元にない。


「押収されたものは看守室にあると思うけど時間がないのよ」

「場所さえ教えてもらえたら勝手に取りに行くっスよ」


カイムはそう言って上に開いた穴を軽々と登って牢を出る。

続いてスティンガーとロロナも手下の男が垂らしたロープを掴み、登って来た。


「一人で行かせてまた捕まっちまったら寝覚めが悪い。ロロナ、連れてってやれ」

「えっでも」

「大丈夫。俺らが時間を稼いでやる」


一瞬不安そうな顔をしたロロナだったがリーダーの大丈夫という一言で覚悟を決めたような顔になり力強く頷いた。


「わかったわ、じゃあ急いで行くわよ!」

「了解っス!」


スティンガー達と別れてから、右へ左へと狭い道を進んで行く。

進んだ先に扉があり、扉を開けて通ると豪華絢爛な大きな広間に出て来た。

牢屋とつながっている場所にしては些か場違いに感じる。


「ここは?」

「タイリスの王城よ。リーダーとあなたはここの地下牢に閉じ込められていたのよ」


まさかカイムも王城の地下に閉じ込められていたとは思いもしていなかった。

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