■時間後 / 全容確認
「……知ってる? 母親ってね、怒るととーっても怖いのよ」
「ああ、間際まで見せてみろ。子を守る母とやらを」
―――これは、彼ら彼女らが大森林を発っていくらかの時間が経過してからの話。
とある森竜が抗った末、大森林はその約七割が漆黒の破壊に呑み込まれ消失した。
「ああ、あああ……緑花竜さま、フィオーレさま…!」
「なんと、いう。なんということだ!」
「森が、我らの森が。我々の、この森に住まう全ての居場所が……」
既に
残されたエルフの民が絶望に顔を伏せる中。
「はぁーあ。あんたらはほんと。残された者として、やるべきことがあるのを解っていないんだねぇ」
「まったくです。珍しく意見が合いましたね変化の魔女さん?」
だぼっとした服の袖を揺らして、あるいはフードの位置を直して。
自らの住処に戻ったはずの二人の魔女がエルフの聖域に再来する。
「こんだけ
「如何にも。だからこそ、私たちもその遺志を継いでこの場に戻って来たわけで」
魔女リエーリヴァは片手に握るタクトをかざし、魔女アーデルハイトは両手にめいっぱいの種を握り込む。
「消火と防衛はわたしがやる。あんたは種蒔きに従事なさいな」
「承知しました。せっかくあなたから手ほどきを受けて改良した種ですもの。魔獣ではなく樹木を栄えさせる為にこの力を振るうのも、今となっては悪くありません」
力ある二人の魔女が同時に動き、犬猿の仲とは思えぬほどの協調性で聖域を守りつつ森の再展開を行う。
それを見て、母親に抱きかかえられていたエルフの少年が、まず動いた。
「これ!危ないだろ、戻りなさい!」
「やだ!ここはおれたちの森だ!おれたちが何もしないのはおかしいよ!!」
次に白い顎髭を伸ばした老人が腰を曲げたまま杖を突いて、よろりと黒き破壊に見舞われ炎上する森へと一歩、踏み出す。
「おい爺さん!?下がれって死にたいのかよ!!?」
「若き芽が踏ん張る中で老骨が黙っておるのも恥ずかしい話よ。…のう?そうは思わんか、皆の衆」
「「「…………っっ」」」
子供、老人。それぞれが己の衝動のままに動くのを見た他のエルフ達が飛び出すまでに、十秒は掛からなかった。
「水の魔術が得意な者は前へ出ろ!それ以外は風の魔術で炎を追いやれ!」
「子供は無理に出るな!アーデルハイトの種を受け取ってそこら中に撒いてやれ!この森を失わせるな!!」
「やるぞっ。ビビッてんじゃねーぞおらー!!」
エルフの皆が意気込んで行動する中、破壊の最前線で踏ん張る魔女二人は脂汗を滲ませながらも退くことはしなかった。
「……ねえ、種蒔きの魔女」
「なんですか……変化の魔女」
「いやさ。…少しだけ、ほんのちょっとだけ。あの竜の気持ち、わかった気がしないかい?」
「…ふ。今日は奇遇が連なる日ですね。ちょうど、私も同じことを思っていたところでしたとも…っ!」
その日、大森林はその七割を失った。
だが、残った三割は竜王の破壊に耐え切り、その半年後には元の三倍にも繁殖させて森林の領域を広げていたという。
後にこの森は名を変え。
その名を、恵みと共存の森『
ーーーーー
【大森林解放戦線】全容確認
・夕陽一行、シュヴァルトヴァルトへ現着。
・狙撃手・完全者ロドルフォ・エッセマン急襲。
↓↓↓
・大森林内にてロドルフォ撃破
・日向夕陽ら、エルフ一行と共に聖域へ
・ヴェリテ、エヴレナ。森竜フィオーレの襲撃に対抗
・エヴレナ、大森林最奥部に拉致、ヴェリテと分断
↓↓↓
・エヴレナ、フィオーレと対峙。戦闘開始
・夕陽、エルフの聖域にて交渉開始
↓↓↓
・エヴレナ、フィオーレ撃破
・ヴェリテ、エヴレナと合流。エルフの聖域へ前進
・レディ・ロマンティカ。神秘の隠れ家へ前進
・ロドルフォ自爆
・夕陽、幸、ヴェリテ、エヴレナ。神秘の隠れ家へ前進
↓↓↓
・レディ・ロマンティカ。魔女リエーリヴァと戦闘開始
・ヴェリテ、エヴレナ。魔女アーデルハイトと戦闘開始
・夕陽、幸。リエーリヴァとの戦闘に乱入
・夕陽、幸、ロマンティカ。リエーリヴァ撃破
・ヴェリテ、エヴレナ。アーデルハイト撃破
↓↓↓
・エルフ一行と再度の交渉
・『大森林不可侵協定』、締結
↓↓↓(翌朝)
・会議により方針決定
・戦闘要員のエルフ一行、セントラルへ前進
・夕陽一行、エリア7へ前進
↓↓↓(■時間後)
・竜王エッツェル、大森林へ転移
・エッツェル、フィオーレと対峙。戦闘開始
・エッツェル、フィオーレ撃破。厄竜化
・大森林七割消失。エルフ及び魔女の抵抗により三割防衛
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