【喰伐怒】 ヴァルハザード


「オイオイ。死体に鞭打って叩き起こしておいて、そりゃ無いだろ」


「テメェから喰い殺してやろうかエッツェル?いや逆らえねぇんだけどさ」


「大老殿にゃあちと悪いが、オレとて昂ってんのよ。一番槍、もらうぜ?」






 【名称】 厄竜ヴァルハザード

 【種族】 暮亡くれないの厄竜

 【性別】 雄

 【出現場所】 ???

 【強さ】 ★★★★★


 【容姿】

 二メートルを超す筋骨隆々の巨漢。燃え上がるような朱い髪をオールバックで流し、真紅の瞳は鋭く周囲の変化を常に把握している。

 半裸で、下半身には自らの竜態の表皮と鱗で編み上げたボンタンと革靴を履いている。

 両腕から背中にかけては螺旋状に火の粉のような紋様が浮かび上がり、彼の感情に合わせて濃く赤く色を放ち、激情時には紋様から火が噴き人型形態でも背に火炎の翼が生えているように見える。

 竜形態では五十メートルほどの炎竜となる。体力の増減に関係なく、必要だと感じた時にはこの姿に変化する。

 変化すると同時に熱波が吹き荒れ、翼の羽ばたきに合わせて発火する両翼から絶えず焔の雨を降らせ続ける。



 【能力】

 

 ・紅蓮のブレス

 炎竜が持つ固有の咆哮。ただしその威力は竜王の呪縛によって強化されている。本来は放出される火炎の息吹だったが、厄竜化した今となってはその高出力により火球として放たれるようになった。クールタイム0.2秒。上限無し。最大三十発連射可。最大連射時のクールタイム五秒。


 ・〝喰伐怒クラウド

 それは牙を持つ焔の息吹。全長二十メートル、翼竜の形と成って現れる。

 一度吐き出されれば触れるもの全てに例外なく纏わり付き炎上させる。振り払うこと、鎮火することは極めて困難で、喰らい付いた対象が完全に燃え尽きるまで離れることはない。

 この牙持つ焔は十体まで吐き出され、倒されるたびにヴァルハザードのブレスから再度具現化される。

 それぞれが独自の思考下で動き敵対生物へ向かってくる上、本体はこれらが射線上にいても構わずブレスを撃つ。〝喰伐怒クラウド〟は紅蓮のブレスを受けてもダメージは入らず、むしろ受けた火力をそのまま身に取り込み膨れ上がり速度と威力をさらに引き上げる。


 ・〝竜王の呪縛カリスマ(炎)〟

 黒竜王に仇なす世界の全てを滅ぼすよう入力された最優先事項。ヴァルハザードはこれに基本は従うが、自身の敵として実力足り得る対象を認識した際にはこの呪縛を強引に振り払ってそちらに意識を向ける。この際パラメーター変動は起こらないが、逆に竜王の命令に違反するので上昇補正も消え去る。再度命令通りの行動に戻ればパラメーター三段階上昇も戻る。


 ・概念受肉(腕)

 大戦期に失った右腕を黒竜王の持つ〝絶望〟の概念体の一部で補完したもの。伸縮細大を自在に操れる。戦闘時は黒色の炎として腕の形を具現し、その間は腕自体が〝喰伐怒クラウド〟としての性質を得る。

 竜形態時は右の翼が上記と同様の形で具現される。


 ・モード『炎帝ノア

 大戦期最強の炎竜であったヴァルハザードの扱う奥義。伝えられた祖先の姿に酷似した大火の化身となり、全身が業火に包まれた出で立ちに変化する。発動と同時にそれまで受けていた傷は全て焼き払われ消失し、あらゆる攻撃威力が平時の百五十倍にまで上がる。

 『炎帝』状態のヴァルハザードを中心に四周数キロは酸素を奪われ高温が大地を熔かし、赤熱に歪む大気の中で空を舞う覇者は在りし日の姿、全盛期の炎竜の雄姿そのものである。





   『攻略メモ』


 ドラえごんが過去から引っ張り出してきた竜の死骸を蘇生させ厄竜化したもの。

 大戦期を戦い人の陣営に壊滅的な被害を及ぼした当代最強の炎竜。そのあまりの強さから祖竜の生まれ変わりではないかと疑われたほどだが、皮肉なことに蘇生してからそれが誤りであったということが判明する。

 だがその強さは燃える意思にも反映されており、なんと竜王の言葉によって蘇生を受けた身でありながら自我を残している。竜王が厄竜リヒテルを評していたものと等しい、心身が滅びた後に残った『竜の魂』が肉体の蘇生に連動して蘇ったものと思われる。


 竜王エッツェルと同じく人を認めず竜の世界に賛意を示した者であるが、その理由はエッツェルとは少し異なる。彼は人が弱かったから認めなかっただけであり、その人との戦争に敗北し死したあとの彼には以前ほど竜王に力を貸す大義が薄くなっている。

 とはいえ竜王の言葉には抗いは出来ても無視することは出来ない為、渋々とその目的に付き合っている。しかしながら彼にとって二度目の大戦となるこのタイミングで蘇らせたこと自体にはそれなりに感謝しており、強者との死合いを心待ちにしている。


 彼が『大老殿』と呼ぶ祖竜ブレイズノアは彼ら炎竜にとっての祖先であり、それなりの敬意を払っている。ブレイズノアの底知れなさに相対し、ようやく己が祖竜の転生体ではないことが判明してちょっと安堵している。

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