【業焔の祖竜】 焱竜ブレイズノア


「やれやれ。あまり爺をこき使うな。こちとら死んでるんだ」


「あぁいや、だが今は若いか。ははっ、重畳重畳」


「では、まあ。蹂躙するとしようか」


「行くぞ人間とかいう生物ものよ。無様に死ぬまで踊って見せろ」






 【名称】厄竜ブレイズノア

 【種族】翡燈ひひの厄竜

 【性別】雄

 【出現場所】???

 【強さ】★★★★★




 【容姿】

 燃え尽きた灰のように白い髪をローテールで括った青年。蘇生にさらに手を加え彼が全盛期だった若々しい姿へと戻っている。

 瞳の色は絶えず大小強弱を変動させる緋炎の揺らめきを浮かべている。緋色の長羽織りを直に肩から掛け、藍色の袴と神代の樹から作られた下駄を履いている。いずれも耐久力は特一級品。

 竜化状態は全長八十メートルに届く巨体となるが、逆に動きづらくなるという理由と剣を振るえなくなるという事情から基本的には人型の状態で戦う。

 


 【能力】


 ・『灰燼剣ブレイズノア

 厚さ一メートル、十尺(三m)の剣身を持つ鉄塊のような大剣。常に高温で赤熱している。

 自らの死後遥か先で、この地に生まれた人間が掘り返した遺骨から鍛え上げたもので、ドラえごんが苦心して過去の何処かからどうにか見つけ出してきた。

 人間達が何千何万年も前に居たとされる『有翼の怪物』の力を使って、いずれ現れるかもしれない世界の脅威を取り除く為に創り出された逸品であるとされる。

 一振りで灼熱があらゆる存在を焼き祓う。それは物理的な攻撃力だけでなく、原初の火としての概念性を持つ。奇しくも『〝絶望〟の概念体』によって復活した竜王エッツェルの保有するルールと同じく、この大剣には〝焼却〟の概念が付与されている。

 この剣の炎に触れたものはあらゆる法則性を無視して何かを焼き捨てられる。長くを生きた記憶、長年に培った武技やその心身、永久に続くとされるこの世の栄華ですら脆く儚く無に帰ることだろう。

 〝焼却〟の概念は人の時代より前から続く脅威である為、神性すら纏う。まともに喰らえば現存する神々とて無事では済まない。

 もはや『斬る』、『断つ』といった攻撃では表現できない超常的な斬撃と化している。


 ・原初はじまりひかり

 異世界流に呼ぶところの〝最古の属性オールデスト・ワン〟の火を司る称号。その世界で初めて生まれた火、そのもの。炎神やイフリートと呼ぶものもいる。

 問答無用で全てを焼く。水であっても雷であっても人でも神でも地でも天でもあらゆる全てを問答無用で焼き尽くす。

 発生と同時に空気を焼き、酸素を焼き、息する者を焼き、生物の文明を焼き、生きとし生けるものを痕跡残さず焼いていく。とある退魔師曰く、『滲み寄る破滅であり、概念体風に言えば〝焼却領域〟』。

 ただそこに座すだけで焔の祖は絶えず星を焼き、新たなるものを許さない。この力があったせいで長い年月この星では祖竜以外の生物が誕生しなかったとされるほど。

 今現在は蘇生させたエッツェル自身が封じているが、ブレイズノアはこれを自力で解くことを可能としている。が、人という生物ものを知らず大戦なるものにも経験が無い彼は人との力比べを所望しており、基本的にはこの力を解放することはない。

 だが強者を誘き寄せる為、あるいはエリアひとつを焼き滅ぼす余興に使うことはあるかもしれない。


 ・〝竜王の呪縛カリスマ(焱)〟

 黒竜王に仇なす世界の全てを滅ぼすよう入力された最優先事項。これに遵守した行動を取り、それに従っている内は全パラメーターが最大三段階上がるが、肉体の耐久性を超えた出力に到達してしまう為、最大までギアを上げた場合には自壊を伴う。

 ブレイズノアはこれを認識した上で跳ね除けている。死合うに際し自分以外の力は必要ないという考えからだが、結果として『原初の火』はほぼ封印状態にされ、能力適用範囲も大幅に制限されることとなった。

 自身に傷を付けた時点でその敵を相手に呪縛カリスマを許容。パラメーターが一段階上昇。

 血を流した時点でさらに二段階上昇許諾し、息を乱した時点で哄笑と共に最大の三段階上昇を受け入れ全盛期を超えた力を発揮する。

 

 ・〝全枷強制解除オーバーリミット

 竜王エッツェルが権能を全て解放し強引にブレイズノアの力を半ば暴走状態で解き放つ力業。

 この段階で竜王(及び〝絶望〟の概念体)による強制力でブレイズノアの意識はシャットダウンされ、ただただ世界を滅ぼす火で焼き尽くすだけの破壊装置と化す。

 いかなる神の権能で押さえ付けても世界の維持はせいぜい一時間程度。これが発動した時点で世界崩壊(竜王としては『浄化』の一掃)のカウントダウンが開始される。






   『攻略メモ』


 大戦期よりも過去。数多くの竜種がその属を派生させてきた時代よりもさらに前。竜種の祖先ともされる極大の力を持っていた『有翼の怪物』の一角。後の世でようやく『竜』という名称と種族が銘打たれ、その起源たる怪物は『祖竜』と呼ばれた。

 生きた年月でいえば竜王を軽く凌ぐほどだが、ブレイズノアは自身を過去から引き摺り上げ蘇らせた若造エッツェルに悪感情は抱いておらず、むしろ好感すら抱いている。そもそも生物としてのスケールが違い過ぎる祖竜にとってはいかなる生命の動きですら蟻の歩みのように緩慢で小さなものとして映っている。そういう意味ではどこまでも仏のようである。


 生前は自身に抗うほど強い力を持った生物に会わなかった(存在しなかった)為、此度の大戦には心躍らせている。自身の子孫である竜種には友好的かと思いきや、『どうして年月を経て弱くなっている?』という感想でもって憤慨気味。彼としては幾世紀も跨いだ子孫は自らを上回る力を持っていて然るべきと考えていたらしい。

 その中でも黒竜王エッツェルと直系の子孫であるヴァルハザードは『まあそれなりに継いでるな』と好評価をくだしている。


 常に火炎を身に纏う大火の化身とされていたブレイズノアは火竜・炎竜の祖先であるとされ、炎を扱う竜種の頂点は襲名制で代々『ノア』を名乗っていたという。

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