〝絶望〟の概念体【Πανδώρα】
『か、を』
『───わ、…せ』
『や……く』
『
『全てが漏れ出でる、その前に』
『あんこくが、やってくる』
黒外套を揺らめかせ、その姿の一切を外気に晒すことがない。顔も、深く被ったフードによって男なのか女なのかすら分からない。身長は百五十㎝程度はあるが、呟くように漏らす声も中性的であり、概念体であるということを除き、存在の全てが謎に包まれている。
概念体としての生物に対する敵意を何故か持たず、対話を可能とする知的生命体に対しては同じような言葉を何度も何度も紡ぐ。
【πίθος】
ピトス。この世全ての負を納めた終極の絶望。
掌に乗る程度の、小さな正方形の箱。その表面はゴムのような弾力があり、鋼のような硬度も併せ持つ。気味が悪いほどの黒色で、光をも呑み込んでしまう。
支配する理は災禍。ありとあらゆる悲嘆と悲劇を生み出す原初の災い。その箱が開く時、その場にいる全ての生命は問答無用で死に絶える。抗う術はなく、打ち消すことも不可能。
ただし、今現在ピトスはΠανδώραの手元には無く、その真価が発揮されることはない。
【ἐλπίς】
エルピス。この世唯一つの正を現した究極の希望。
詳細不明。
『攻略メモ』
真っ黒な布で全身を覆う謎の概念体。その口調、容姿は使用される作者様の都合のいいようにしてもらって構いません。全投げ。
倒すという一点に関してはもっとも難易度の低い概念体。というか常人と同じくらいの能力と耐久性しかないので大層な術式も威力も必要ありません。ぶん殴れば倒せる。
『裏情報』
最低最悪の概念体。本来であればこの異世界に流出した時点で女神の力をもってしても再興不可能になるほどの破滅をもたらすはずだった。神の力でも抗えないということは、コレも同じく高位の神性を有するということ。
実はこの概念体の本体はピトスと呼ばれる箱そのものであり、Πανδώραというのはその箱によって生み出された姿形に過ぎない。
さらには黒外套の正体は厳密にはピトスでもなければΠανδώραでもない。
黒外套の正体はエルピス。
現在とある理由でΠανδώρα(及びπίθος)はこの世界に流出した直後にその行方をくらました。この異常事態に対しエルピスは知的生命体とコンタクトを取れる形で姿を整え、事の経緯と真実を伝える語り手として異世界に現界した。
ちなみに甕とはピトス(箱)のこと。
『本来は有り得ないこと。起こり得ない事態』
『絶望を、甕ごと喰らうなど』
『―――ただ、我々の存在自体がイレギュラー。だとしたらきっと』
『これは
『この世界に対応した最悪の災禍として、アレは彼を択んだ』
『
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