憑百 琥庵


 其れは善悪の分別をつけた上で対応を分ける『退魔』とは大きく意向と目的を違える一派。

 人ならざるものをただ殺し尽くす為だけに生み出された、人類のカウンター措置が歪み続けた果てのもの。

 すなわちは『滅魔』。人間至上主義の塊。人外を殺す為に外法に手を染めた一族。

 代々より連綿と継げる〝憑依〟を得手とする、かの一族の初代が賜った銘とはその偉業に由来する。

 『百の神霊亡霊を身に憑かせ、その個で万にも億にも及ぶ敵を屠りしつわもの』。

 故に『憑百つくも』。

 世界を隔てても尚、その本能に似た殺意の放出は留まることを知らない。




   憑百つくも 琥庵こあん


 憑百家当主のに位置する男。憑百家本来の滅魔方式を外れ、その逆たる『億にも京にも及ぶ亡霊を呑み砕き百の神格を滅ぼす者』であることを使命とされた、生きる対人外兵器。その有様はもはや現人神とも呼ばれる程。

 非常に冷徹で冷血。人ならざると解れば即座に殺す。一切の弁護釈明は通じず、ただ人ではないという理由が彼の殺害動機。

 憑百家に共通する異常なまでの人外に対する憎悪を例外なく内包しているにも関わらず、あまりにも露出する感情が希薄。基本的には寡黙で、話したとしても相互理解は不可能。『滅魔』の遂行に邪魔とあらば人間とて殺す。



   ・『虎覆逆霆こふくげきじょう麻垂まだれ為手して

 琥庵たる真名の由来。

 憑百家でも一際強力な使い手に与えられる『七宝衆』たる役職の〝琥珀〟を名に収めている。

 琥珀を名に宿し、庵によって自身に優位性を発揮する領域を発生させる。

 これにより狭域ながらに概念種を吸収する陣を敷き、無尽蔵に強化を繰り返せる循環機構を強引に成り立たせることが可能。より長期戦において強味を見せ、取り込む質と量によっては特異家系当主の実力にすら追い縋るとされる力の使い手。

 取り込んだ亡霊悪霊の類を身に纏わせ装甲や武装とする。一つ一つは薄紙に等しい強度だが、化物じみた琥庵の〝憑依〟としての器は億千の概念種を喰らっても上限を迎えない。これにより凝縮圧縮された武装は無類の耐久と威力を誇る。

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