ひよりんカルテット


 『カンパニー』お得意のクローン技術によって、前回の戦闘からデータを取られた日向日和の複製体。オーロラ体、とも呼ばれている。

 日和の化物じみた戦闘能力を売り物にしようとした『カンパニー』の闇。元々は二万体を目標に生み出され続けていたが、どういうわけか魂を実装していない肉体だけの抜け殻が四体、それぞれ別個の感情を持って反旗を翻したのが事件の切っ掛け。

 試験管ベビーから手間暇掛けて培養していた為、同時進行させていた最初期五千の複製体全てが十歳程度の姿までしか育っていない。だがその幼い身に秘めた性能は将来的にオリジナルに追いつくほど凶悪。『ひよりん』なる呼び名はその可愛げな外見に絆された女研究員の一人が付けたもの。

 ひよりんカルテットには、各個に喜怒哀楽の感情が内包されている。そのどれも宥めるのは苦労を要するだろうが、ヴィランではなく味方ゲストとして引き込めれば強力な助っ人となることだろう。

 また、オリジナル同様の聡明な頭脳を初めから備えているので、自分達が日向日和という個体のクローンということ。オーロラ体なる体質によって長くを生きられないことを自覚している。

 終盤まで使われない場合、日向日和自身がこのクローンとの決着をつけにいくことが予想される。

 各個体の危険度は星4。全員揃って相手取る場合は星5かそれを超える可能性も有り。

 知能は高くとも精神年齢は外見と同等レベル。さらには独立した感情に則って奔放に動き回るので普通の子供と変わらないように見える。外見自体は日向日和のミニマムバージョン。




   ひよりん(ごきげん)

 とりあえずにこにこ笑みを絶やさない、一番無害な輝く笑顔のロリっ子。日和が目の当たりにしたらカルテットの中で真っ先に殺しに来るであろう(日和にとっての)害悪。

 保有する力そのものは他三人と大差ないが、命の尊さに喜びを見出す魂を宿しているが故に本気で人を殺せない。でも半殺し、瀕死程度になら余裕で追い込む。ようは死なせないだけで戦わないわけではない。

 カルテットの誰よりも穏健で、おこりんぼひよりんを御せるのもおそらくはこの子だけ。




   ひよりん(おこりんぼ)

 とりあえずぷんぷん何かにつけて怒る。初めは目覚めた瞬間に自分達を生み出した下劣な『カンパニー』に激怒し、他に目覚めた三人以外の眠り続けるクローン全てを殺害し、施設とそこで働く研究員を一人残らず鏖殺した。最もオリジナルと意気が合いそうな人格。

 無意味な命を生み出したことによる怒りであり、クローン体の皆殺しも彼女なりの慈悲によるものだが、結果として『カンパニー』側はこれの脅威を☆5として定めることとなった。




   ひよりん(なきむし)

 とりあえずえんえん涙目。いつだってぐしゅぐしゅと泣いては、ごきげんひよりんやのんびりひよりんにハンカチで鼻をちーんされる。見た瞬間に顔面をグーパンしたくなる程度には日和にとって苛立つ存在。

 何をするにも不安や恐怖が付き纏い迷いの晴れない行動が目立つ。常に最善を選べないが、怯えながらも性能自体は他と遜色ないので毎回暴走しがちな最大のトラブルメーカーでもある。




   ひよりん(のんびり)

 とりあえずのほほんと目を細め何事も楽観視する文字通りの日和見主義。カルテットに危害を加える行動さえ起こさなければなんでも二つ返事で了承してくれる割と協力的な存在。でも日和的には考えられない思考なのでやはり遭遇したら張り手をかまされることは間違いない。

 楽なことを優先するが、こと荒事になればカルテットで真っ先に前線へ跳び出す覚悟の持ち主。この子にとって最も楽な状態が四人一緒にいる時であるからして、それを侵す相手には一切の情け容赦を掛けない。

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