8 ルビノワ、ヌード写真集発売阻止に勤しむ
ルビノワの話が始まる。
「皆さんこんばんは、ルビノワです。
まず初めに昨日のお知らせで漏れていた点をお伝えします。
日記のコーナーを完全に削除致しました。昨日お伝え出来なかった点は以上です。
それと、近影を変えてもらいました。マイナーチェンジ板という感じですが、どうでしょうか。もの欲しそうな顔してますね。何だったかよくは覚えていませんが。
今と髪の染め方が若干違うんですけど、誰か気がついてくれたかな?外見が変わり映えしないのが個人的な救いです。
まあ、色々ありまして、朧も私も歳取らないです。
『こんな頃もあったんだな』
という事で。朧と出会う少し前の時期の物です。ちょっとノスタルジックな気分……子供だったなあ……。
以前までの物は、『過去のお知らせ』のコーナーへ移りましたので、よろしく。
では今日のお知らせを。
『小説コーナー』内の『メイドと秘書のぼやき』のコーナーを更新致しました。
あんまりシラフの時には思い出したくない内容が濃縮果汁100%という感じで詰まっています。そういうのって如何なものでしょうか。
ああ、あと以前朧がとぼけて言った台詞の事ですが、私、ルビノワは絶対にヌードにはならないし、脱いだ状態の映像をここで発表したりしない事をここに宣言します。
夏場はそれは私も暑いですから薄着になったり、水着で泳いだり致しますが、絶対に公衆の面前でヌードにはならないというのは本気です。何で私がこんな宣言するのやら。とほほ……朧のアホたれ~」
などと彼女がぼやいていると、ひょっこり朧が登場した。
「呼びましたかあ?」
「あっ、今あなたの無責任発言の釈明を自主的に行っていたのよ」
「ああ、あのヌード写真集発売の件ですかあ」
「そんな話は浮上していない! また電波か!!」
「ひょっとして、また私はデマゴーグに踊らされていますか?」
「元々そんな話はないのよ? 朧ちゃん」
「何かそんな呼び方をされちゃうと恥ずかしさで体が熱くなりますね☆」
「なるな! あちこちで!!
とにかくあなたもここで皆さんに何か一言お詫びの言葉を述べなさい。何というか、私の心のシクシクする部分が癒されるから」
「皆さん、私もがっかりしています。ご主人様の口調を借りて申し上げますと
『悪い様にはしないからさ、ね? ちょこっと。いいでしょお?』
という心境です」
血相を変えて、スタジオ内に幽冥牢が現れた。
「そういう言い回し『は』してない!」
「少し違いましたねえ。やっほー☆」
朧がぶんぶんと手を振る。苦虫を噛み潰した様な顔で同じ様に返す幽冥牢。
「やっほー。えーと……何だ、そういう大事な所を分かってくれればいいです」
幽冥牢は頭をかきながらスタジオを後にした。
「出て行っちゃった……!」
「腑に落ちる納得条件を満たしてあげれば落ち着く。ご主人様はかなり扱いやすいタイプです」
「朧、恐ろしい子……!
と、とにかく、一寸でも駄目です」
「ケチですねえ」
「ケチじゃない。とにかくまあそういう訳ですので、この話は以上です」
「じゃあ後は裏ルートで密売しかないじゃないですかあ。もう……そっちの方が手続き面倒なんですよ?」
「するなっ! 密売っ!」
「何だかPTAみたいですよ?」
「ええっ!? ……ううっ……そんなあ……」
「あらあら。また泣き出しちゃって。よしよし。だいじょぶ、だいじょぶ。ちゅっ☆」
そっとルビノワを抱きすくめ、頭を撫でてあげる朧。
「ううっ。出すな―。写真集」
「はいはい。では今日のお知らせは朧がお伝えしました。ごきげんよう」
「ごきげんよ~」
くたびれ果てた様子のルビノワの手首をそっと取り、手を降らせる朧だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます