ほんとうにこの作者さんは竜と滅びを愛しているなぁ。それも竜といってもただのモンスターでない、血が通い腹の中には臓物がある。けれど悠久の時を生き深い英知をたたえた、一個の生物としての竜。そして日常のパートを長く丁寧に描き、そこにじわじわと亀裂が走って、あるとき一気に瓦解する滅び。短くまとまりながらも、本当にこの作者らしい物語構成に惚れます。ぜひ前作「竜の骸布」とあわせて読んでみてください。