第4話 ペトラ国門にて

私たちは木に隠れ、門番の様子をうかがいます。


門番は、フルークさんの言った通り10人。


そして、フルーク曰くあの10人の中の誰かが門の鍵を持っています。



顔が見られないように、戦地で拾ったマントを2人でかぶっていますが、フードが深いわけではないので正面下から見たら顔が見えてしまいます。


気をつけなければ。




特に、フルークさんは門番に知り合いがいる可能性もありますからね。


「フルークさん、マント取れないように気をつけてくださいね」


「わ…わかってる」



やっぱり、緊張してるようです。


今から母国の裏切り者になろうとしてるんですから…当然です。




「じゃあ、いきますか」


「ああ」




▶▶▶▶▶▶▶▶▶▶▶




「じゃあ、いきますか」


「ああ」



ドクン……ドクン……


うるさい。心臓がうるさい。


ドクンドクン…ドクンドクン…


胸が内側から蹴られているようだ。


ドクンドクンドクン……ドクンドクンドクン…



「ちょ、ちょっとまってくれ」



「あ、はい」




俺はとっさにストップをかけた。



落ち着け…落ち着け…


決めたじゃないか…この少女に協力するって…。



「あの、フルークさん」



息を荒くしてる俺の肩に少女は手を置き、話しかけてきた。



「頑張りましょう」



そう言って、笑った。


その笑顔は、俺の焦りを洗い流してしてくれた。


この少女は、記憶を失い、ゾンビになり、それでも俺に笑いかけてくれている。


俺は、この笑顔に答えなければならない。



「よし、行くか」


「はい」



俺たちは隠れていた木から離れ、門番の方へ向かっていた。






▶▶▶▶▶▶▶▶▶▶




交渉したら通してくれる可能性があるみたいなので最初は交渉してみます。




「…軍隊のものだ。」

とフルークさん。



「身分証明書をみせろ」



「これだ」



フルークさんは、身分証明書を門番の兵士に渡します。

渡された門番は、コクと頷くと身分証明書をフルークさんに返しました。


…これは行けるやつでしょうか…!



「よし、通れ」


「ありがとう」


これは、超ベストな展開です。




…と思ったんですが。


「その子供は止まれ」



門番の人は私の肩をガシッと掴みます。


なんと私だけ止められてしまいました。



…まぁ、当たり前ですよね。

私は身分を証明出来ないんですし。




「だめか?」



フルークさんは門番の人に聞きます。



「ダメだ。こいつを通すことはできない」



やはり、断られます。



「じゃあ、しょうがありませんね」




私は肩に置かれた手をはらい、その手の主の顔面を蹴り飛ばしました。


その人は不意打ちに対応できず一発KO。


1人目。





「くそ!かかれぇ!!」



その状況をみた門番たちが私に襲いかかってきます。



やはり…こうなってしまいましたか。

ベストな道っていうのは開けないものなんですね。



振りかざされた剣を避け、脇腹に回し蹴りを入れます。

手応えありました。


蹴られた人は苦しみながら地面で悶絶してます。


2人目。





「よくも!!」


背後から1人で、刺そうとしてきたのでそれを避け、剣を奪い、その人を刺します。


3人目。





蹴りを入れてきた人がいたので、足を掴み、片手でその人をバット替わりにして、次に襲いかかってきた人をかっ飛ばしました。


もう一方の手で持っていた剣でバット替わりにしていた人を刺します。


4、5人目。





しかし、人間を振り回すのはスキが大きすぎるため、背後から取り押さえられてしまい、正面から斬られそうになります。


とっさに180度回転して私を取り押さえていた人を盾にしました。


仲間を斬ってしまった人が動揺している間に剣を奪い、その人を刺します。


6、7人目。





最後の2人が左右から同時に襲いかかってきたのでギリギリでしゃがんで避けます。


そして、2人の足を思い切りけって転ばせ、転んだ瞬間剣を奪い、転んだ2人を斬りました。


8、9人目。




これで…終わりですか。


私の周りには9人の兵士が倒れています。



「ごめんなさい…」



気づけばそう言ってました。


だって、この人達はほんの1ミリも悪いことをしていないのですから。



▶▶▶▶▶▶▶▶▶




はじまったか。


少女が門番を蹴り飛ばし、戦闘が始まった。

しかし、先程と比べ俺は冷静だった。




俺は少女に襲いかかろうとしている、門番の1人の背中を思い切り刺した。


「く…くそ…」


門番は血反吐を吐き、こちらをむく。


「…フルーク?」


門番は、悲しみと怒りと…その他の感情がこもった目で俺を見ている。


その顔に見覚えがあった。


「…ロビン」



ロビン。俺の同期で、訓練生時代を共に過ごした親友だ。







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