天使的なニボシゴハン

 テレビで見たのだが、最近「悪魔的な美味しさ」の料理が流行っているという。


 「悪魔的な美味しさ」とは、カロリーがめちゃくちゃ高いなど、食べると罪悪感を抱いてしまうが、やみつきになってしまう美味しさの料理のことをいうらしい。


 では、その反対の「天使的な美味しさ」の料理もあっていいのではないだろうか?

 悪魔と対立するもの、すなわち、食べると健康的に得した気分になるが、そこまで美味しくなさそうな料理……。


 それが、今回紹介する「ニボシゴハン」である。


 作り方は、すごく簡単。


①ご飯を茶碗に盛る。


②食べる煮干しを10グラムほど振りかける。


③混ぜる。


 以上で、ニボシゴハンが完成する。

 つまり、ただ、ご飯の上に食べる煮干しを振りかけただけである。


 おや、これのどこが「天使的」だって?


 ならばこのニボシゴハンの「天使らしさ」を、味わいながら説明しよう。


 まずは、このビジュアル。

 真っ白な白米の上に横たわる、銀色に輝く小魚たち。

 まさに天使!


 次に、栄養。

 魚といえばカルシウム。煮干しを丸ごと食べることで、骨が強くなった気がする。

 まさに天使!


 そして、この食感。

 煮干しが固く、尾や割れたところがちょっととがっている。なので、いつものようにご飯を急いで食べると、口に刺さりそうでめちゃくちゃ怖い。そのため、ゆっくりとよく噛んで食べるようになる。噛む回数が自然と増えるのだ。

 まさに天使!!


 このように、ニボシゴハンは食べるとなんだか健康的に得した気分になる料理なのだ。


 ちなみに、気になるそのお味は……。


 うん、まぁ、煮干しにほんのり塩気があるよ。

 あと、よく噛むから、ご飯が若干甘く感じられるのは、気のせい、かな……?

 

 あと、先ほどビジュアルが天使的と言ったが、純白の米に浮かぶ白銀の魚のしかばねは、ちょっと、天使の皮を被った悪魔にも見えなくはない。お前たち、死んだ目でこっちを見るな。


 そんな、不思議な魅惑と美味しくなさで私を誘う、天使的なご飯。


 「ニボシゴハン」ごちそうさまでした。



P.S.お湯を入れてお茶漬けにしたり、炊飯器に入れて一緒に炊くのは、私的に背徳的行為です。美味しいけどね。

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