第4話
ここはどこだろう、何だかぽかぽかしていて暖かいなぁ。陽だまりの中にいるような感じだ。僕はどうしたんだろう?よく分からないけど身体がムズムズする。なんだか身体が少しずつ変化しているのかも。やっと僕も安定期を迎えたのかな?ふぁ、また眠たくなってきたや、おやすみなさい。
◇
夕方になって報告に出かけていた2人が慌ただしく帰ってきた。
「たっだいまー、しおんちゃんが安定期を迎えたって聞いて超特急で帰ってきたよー。」
「ゆり、薫子ただいま。紫苑は今どこにいる。」
「お帰りなさいお母様達。そんなに急がなくても大丈夫よ。紫苑は部屋にいるから。」
「お帰りなさいませ牡丹様、菫様。紫苑様は白い繭の様な物に包まれてはいますが問題はありません。」
「「白い繭??」」
そう聞いた2人は不思議そうに首をかしげていた。
「取り敢えず紫苑の部屋に行って様子を見てみるか。行くぞ牡丹。」
そう言って足早に紫苑のもとへ向かって行った。その様子を見て薫子さんは落ち着いて話が出来るようにお茶の準備をしにリビングに向かい、私は二人の後を追って紫苑の部屋へと向かった。
先に部屋についた2人はお互いに思案しながら白い繭を観察していた。
「これはなんだろうねー、繭の中で力が渦巻いているというか何というか。」
「うーん、見たところ繭の中で身体を再構築しているのではないか?少しずつだが変化しているようだ。」
「流石は私達の子供だねー、私たちですら分からない事を起こすなんてね。」
「そうだな。まあ私と牡丹の力を引き継いでる時点で普通ではないことは分かっていたがな。」
そんな2人の会話を横で聞きながら私は白い繭をじっと見つめていた。先ほど聞いた再構築の言葉が気になっていた。紫苑は一体どんな姿になるのか少し期待してしまう。
ただ、あの大好きな紫の瞳だけは変わってほしくないなと思いながら、同時にどんな姿に変わっても紫苑は紫苑なので問題ないとも割り切っていた。それより紫苑とのこれからを妄想するだけで顔がだらしなくにやけてしまうわ。
その様子を横から眺めていた菫はやはり親子は似るもんだなと改めて実感していた。
「取り敢えずは大丈夫そうだ。再構築が終わるのは今日1日はかかるだろうが、明日には終わっているだろう。」
「そうだねー、かおるこちゃんがお茶の準備をしているみたいだから一回リビングにいこっか。」
リビングに戻ると薫子さんが人数分のお茶を用意して待っていた。
「いつもありがとう、薫子。さて皆そろっているところでこれからの話をしようか。これから2人には外の世界を知って貰いたいと思っている。前にも言ったが2人には社会勉強のために高校に通ってもらうことになる。どこに行くかは2人で相談して決めてくれて構わない。」
「薫子には引き続き子供たちのサポートを任せたいと思っている、慣れないこともあるかもしれないがよろしく頼む。」
そう言って締めくくると今度は牡丹が話し始めた。
「子供たちは高校に通う事になってるでしょー、この家から高校に行くのって無理があると思うからー、高校に近いところに引っ越してもらうことになると思うのー、そこに、かおるこちゃんもついて行ってもらうからー、その間私とすみれちゃんで世界旅行に行こうかなーと思っているの。」
「しばらくの間、離れ離れになると思うけどー何かあったらすぐに飛んで帰るから心配しないでねー。と話したいことこんな感じかなー、何か質問とかあるー?」
私と薫子さんは大まかな話を事前に聞いてたために、特に驚きは無く問題もなかった。
ここで話は一旦終了となった。お母様達は旅行についての計画を仲良く決め始め、私と薫子さんは夕飯の準備に取り掛かり、紫苑は寝ているという何時もの白雪家の日常があった。
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