第33話 予測的中。

 「調子はどうだ?」

 『マスターのおかげでだいぶ良くなりました。』

 「ふむ。」

 昨日はモンスタースポットから戻るとMISAみさのサーバールームが50度まで上昇していて、冷房を全開にし冷凍庫にあるものをサーバールームに出して冷やしたことで事なきを得た。


 『原因は魔法の過剰使用だと思いますので、今後はお手数をおかけしません。』

 「そうか。ならいい。朝食はフレークで済ます。モンスタースポットでみんなと食べるから捜索後に用意してくれ。」

 『了解しました。6時まで5秒前、4、3、2、1、』


 『ダイブ確認。』

 「MISAみさ。OKだ。」


 ダイブと同時にMISAみさは捜索。

 スイートクイーンビーのダリアはスキンシップと産卵。

 俺は人魚のナデシコをバスタブに移し、1本12リットル5000円のボトルの水を10本入れてやる。

 猫スプレイヤーのミィは座布団に丸まって寝始める。


 『マスター。報告します。外はです。間もなく…』


 ザブン!ザブーン!!


 家が大きく揺れ、廊下から大量の水が流れ込んでくる。

 「なんだこれは!」

 『…水に沈みます。』

 あっという間に膝まで水に浸かってしまうと、水流で立っていられなく派手に倒れてしまう。口に水が入る。

 しょっぱい!


 「海水?!ナデシコ!みんなを引っ張って外に出してくれ!」

 ナデシコは水色の闘気で水を操り、みんなを玄関から外に連れ出した。家はゆっくりと海の中へと沈んでいく。


 なんだこここは!


 見渡す限りの海。


 呆然としているのも束の間、気づけば俺たちの周りには、海水から突き出たいくつもの三角の背びれが周回している。

 「ダリア!MISAみさとミィを連れて空から援護してくれ!ナデシコ!俺と一緒にサメと戦うぞ!」

 背中から日本刀を引き抜き立ち泳ぎで警戒する。


 サメの一匹が俺に近づいてきて飛び跳ねる。大きく開けた口からは出刃包丁を並べたような歯が見える。そのまま、俺の上を通過してザブンと海面に落ちて周回に戻り周回していたサメと一斉に俺に向かって突進してくる。

 「ナデシコ!俺が魔法を使うと同時に俺を連れて潜ってくれ!」

 「ぴぃ!」

 「浮上しろ俺の燃えるたましい!≪アイススパイク≫」


 ズズズズズズン!!!


 一気に俺の周りの海水が凍り付いて鋭い氷が立ち並び、跳びかかってきたサメたちの腹に突き刺さる。俺はナデシコに引っ張られて氷の下をくぐり海面に浮上する。


 ズドド!ズバシィ!


 串刺しになったサメへダリアとMISAみさが攻撃している。

 「ちょっとまて!」


 俺はサメの一部を切り取り、再度、ダリアとMISAみさに攻撃を任せる。


 ズドド!ズバシィ!


 ―― サーベルシャークを倒した ――

 ―― 山田太郎はLV9に成長した ――

 ―― MISAみさがLV11に成長した ――

 ―― 山田太郎は噛みつきを覚えた ――

 ―― 部位破壊ボーナスの4個のフカヒレを手に入れた ――


 「うっし!予測的中ー!フ・カ・ヒ・レ!にしても、家が戻っててホッとしたぞ。さすがに沈むとは思っていなかったからな。」

 『はい。溶岩の上とかでしたら目も当てられませんね。』

 「家が溶岩の上なんてあるわけないだろ。」

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