第31話 よってたかって。

 「この暑い中、ウールの下着ってつらくないか?」


 ダリア…虫

 ナデシコ…魚

 MISAみさ…機械

 ミィ…猫


 あ。失言だった。


 「ゴールドウールは地水火風のすべてに強いにゃん。」

 蒸れるかどうかを聞いたんだが、どうでもいいから、この話は流そう。


 「MISAみさ。捜索はどうなっている?」

 『モニターをご覧ください。外の映像です。』

 とんでもなく、吹雪ふぶいてるな。


 「…。」


 ガシャン!!

 『リビングに白い虎が侵入しました。』

 「オレん家だから!って、今までよく戦ったな。めっちゃ怖いな。まんま虎だ。現実離れしていたほうが戦いやすいな。」

 『MISAみさが参りましょうか?』

 「いや。とりあえず、遠隔で仕留めるぞ。リビングの催涙スプレーを起動しろ。」


 バン!バン!バン!


 リビングに仕掛けておいた催涙スプレーが次々に破裂する。


 虎の周りから白い闘気が溢れ、散布したスプレーの成分が凍結して外の吹雪ふぶきに流されていく。


 「次は戦車部隊だ。」

 即全滅。

 『MISAみさが参ります。』

 嫌だな。を盾にするのはなんとなく嫌だ。じゃ、俺が行くか…。


 「大広間でみんなで迎え撃つ。いいな!」

 …無理する必要はない。安全って重要だよな。


 シャァ!

 ぴぃ!

 『了解しました。』


 いつの間にかミィはいなくなっている。しょうがないよな。虎相手に戦おうなんて普通思わない。モンスタースポットは異常なんだろうなぁ。なんとなく、やれる気がするんだよな。


 大広間に悠々と王者の風格を漂わせて、モニターで見た感じの2倍は大きな虎が一歩一歩と進んでくる。


 蜂の一匹が緑の闘気を練った瞬間。跳躍した虎がスパッと手の爪で切り飛ばし粉砕する。

 思った以上に速い。


 すかさずダリアが濃い緑の闘気を練る。虎が動く。ダリアの前に俺が立ちふさがり一閃する。


 ≪抜刀一閃≫

 -ッパス


 浅い!!が、続けざまにダリアの風の刃が炸裂する。体制を崩した虎にナデシコの水の玉、蜂の風の刃、MISAみさソウルクラッシュ罵倒が飛ぶ。いや、体制を立て直すいとまを与えずにあらん限りの力でフルボッコにしている。


 ―― フリージングタイガーを倒した ――

 ―― 山田太郎はLV8に成長した ――

 ―― MISAみさがLV10に成長した ――

 ―― 山田太郎はアイススパイクを覚えた ――

 ―― 白虎のジャケットを手に入れた ――


 俺は着せられた派手なジャケットを脱ぐ。

 「この暑いのに着せるな!」

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