第29話 スイートハニー。
「ぷはー。食った。食った。」
ホットケーキはめちゃくちゃ美味かった。蜂蜜の濃厚な味わいに練乳のような万人向けの風味が加わり、福岡小麦100%の薄力粉あんぽんたん1kg1000円を使用して作った生地を綿菓子のように胃に押し込んでしまった。
「美味いにゃん!もっと焼くにゃん!」
ガキんちょは元気だなぁ。
ゾワワッと感じて、天井を見上げるとびっしりと人の顔がこちらを向いている。
「どわぁっ?!」
俺の声を起点にみんなも天井を見る。
「「「!!!」」」
『そ、そんな。センサーには何の反応も…。』
「思考はあとだ!」
俺は日本刀を手に取り構える。睨み合いが続く。こない?いい加減に上を向いた首が痛いぞ。
「スイートハニーの聖なる気配に釣られてきたにゃん!でも、きたけど聖なる気配に近づいないでいるにゃん!」
どっちなんだよ。きたいのか、きたくないのか…。
「めんどくせぇ。どりゃぁ!」
日本刀を天井に一閃させると切断した天井板が抜け落ちて、同時に家の歴史分の埃が大量に降り注ぐ。
「ぐほっ…!げはぁっ!ダ、ダリア!吹き飛ばせ!」
「≪
ダリアからほとばしる緑の闘気が部屋中に突風を起こして、埃を部屋の外へと吹き飛ばす。
「たすかった…ゲホゲホ…。」
「駄目にゃん!聖なる気配が吹き飛んで死霊どもが襲ってくるにゃん!」
その聖なる気配ってなんだよ…。匂いみたいなもんか?それならダリアの乳自体にも聖なる気配があるのか?それは、けしからん。調査が必要だな。
天井板の抜けた所に目をやると、ぎちぎちに
ォォォォォォォォォォォ…
声にならない畏怖を発して、次々に
ォォォォォォォォォォォ…
左に右に
スパッ!スパッ!スパッ!スパッ!スパッ!スパッ!スパッ!スパッ!スパッ!スパッ!
ダリアが風の牙で切り裂く。俺も負けずに切り結ぶ。ん?猫スプレイヤーがいない。逃げ足が速いな…。
スパッ!スパッ!スパッ!スパッ!スパッ!スパッ!スパッ!スパッ!スパッ!スパッ!
ナデシコが水の玉で弾き飛ばす。俺も負けずに切り結ぶ。
スパッ!スパッ!スパッ!スパッ!スパッ!スパッ!スパッ!スパッ!スパッ!スパッ!
『ひれ伏しなさい!』『おだまり!』『這いつくばりなさい!』『誰が頭をあげていいといったのかしら!』
―― ソウルフィアーが発動した ――
なんだあれ…。まぁいい。俺の剣が冴えて冴えて冴えまくってる!
スパッ!スパッ!スパッ!スパッ!スパッ!スパッ!スパッ!スパッ!スパッ!スパッ!
―― 33体のスペクターを倒した ――
――
―― スイートクイーンビーはLV21に成長した ――
―― ホーンシードラゴンはLV17に成長した ――
――
―― 3個のスイートハニーを生産した ――
「まてまて!バグだろう?!あんなに切り捨てたのに、なんで俺だけ成長してねー!」
『マスターはゲームのセオリーを知らなすぎです…。』
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