第28話 ミルクを出す。

 あんなに大量にあったウールが一欠けらもなかった。要らなかったとはいえ、限度ってのがあるだろうとバカ猫に言いたい。

 ダリアやナデシコの姿が変化してやけにかさばっているので大広間で待機することにした。


 大広間は畳の部屋で、ボッチの俺が使うことのない部屋だったので、使えることがちょっと嬉しい。

 

 『6時まで5秒前、4、3、2、1、』


 『ダイブ確認。』

 「MISAみさ。OKだ。」


 ダイブと同時にMISAみさは捜索。

 スイートクイーンビーのダリアはスキンシップと産卵。

 人魚のナデシコをタライに移す。

 猫スプレイヤーはダリアを見てパクパクしている。


 バカなのか?いや、バカだった。


 『捜索しましたが、モンスターの発見には至りませんでした。』

 「了解だ。」


 バカ猫がダリアに飛びついては、あしらわれている。

 「ひとなめでイイにゃん。やらせてくれにゃん!先っちょ!先っちょだけにゃん!」

 何言ってんだ。このバカ猫は…。


 「百合ゆりをしたいなら、他でやれ。」

 「違うにゃん!違うにゃん!誤解にゃん!」

 「カミングアウトは恥ずかしいことじゃないぞ。ただ、他でだな、」

 「違うにゃん!ダリアはスイートクイーンビーにゃん!」

 改めて言われなくても、昨日、変わるのを目の前で見た。

 「はいはい。」

 「わかってないにゃん!スイートクイーンビーの蜂蜜はスイートハニーと言われていて、すんごく美味しいにゃん!」

 「そうなのか?」

 ダリアを見ると、ダリアは羽をはばたかせて俺に胸を突き出した。

 舐めろってことだよな。


 ペロ


 ―― 体力、精神力、軽度の状態異常が回復した ――


 ん?!


 ペロペロ


 んんん!!!


 ペロペロペロペロ


 「自分だけズルいにゃ!にゃん!」

 「そ、そうだな。あまりに美味くて我を忘れた。ナデシコも舐めてみろ。」


 ペロ


 ―― 体力、精神力、軽度の状態異常が回復した ――


 ぴぃ?!


 ペロペロ


 ぴぃぴぃ!!!


 ペロペロペロペロ


 「にゃ!にゃんもーーー!!!!」


 「ダリア。今までの蜂蜜全部やるから、スイートハニーミルクもらえるか?」


 こくり。


 『…。』

 MISAみさが自分の胸とダリアの胸を見比べている。

 いや、そういうことじゃないぞ。


 「よし!ホットケーキパーティーをしよう!MISAみさ。材料を用意してくれ!」 

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