第27話 君じゃないと駄目なんだ。
もうすぐ、モンスタースポットの時間だってのに引きこもったままだ。
5、4、3、2、1、
目の前にドローンが頭の白い着物を着た藁人形。
「
みんな俺のところに出現する仕様か?
「
『…。』
「
『…いいのですか。あんな醜態をさらしてしまったのに…。』
「
『ぐすん。わ、わかりました。これからも、宜しくお願い致します。』
「ああ。」
ダリアとナデシコもハグの仲間に入ってくる。猫スプレイヤーが号泣している。
「泣かれるほど感動したか?なんとなく恥ずかしいな。」
「そんな三文芝居で泣いたりしないにゃん。昨日、自分の家に戻ったら狩った毛がなくなってたにゃん!」
いや、芝居がかってたけども!ガキには分からねーんだよ!男と女ってのはそういうもんなんだ!そもそも、バカ猫のせいでこうなったんじゃねーか!くそ!蹴飛ばしたい!いい雰囲気が壊れるからしないが。とりあえず、追っ払おう。
「昨日のウールなら大広間にある。好きなだけもってけ。」
「にゃん?!ほんとにゃん?!行ってくるにゃん!」
にゃにゃにゃにゃー!
あいつ、大広間しらねーよな。まぁ、近くだからすぐに分かるだろう。
『その、そろそろ離していただけますか?顔から火がでそうです。』
「お、おう。」
顔ないだろ!
『調査します。少々おまちください。』
「昨日の今日だ。ゆっくりでいい。」
『はい。』
ダリアの卵を見守り、ナデシコをタライに移す。
にゃにゃにゃにゃー!
「見てにゃん!見てにゃん!拾ったにゃん!」
猫スプレイヤーは大きな卵を抱えている。どこか見覚えのある卵だ。
「…。元の所に捨てて来なさい。」
「嫌にゃん!育てるにゃん!」
猫スプレイヤーと言い合いをしていると、卵がぷちりと破けて、1匹の巨大な蜂が顔を出した。えっ?と思って俺たちはダリアを見るが、ダリアは卵から巨大な蜂を引き抜くとバチンと首を切り落とす。
どうやら、ダリアの蜂じゃないようだ。ってことは、敵はダリアと同族?
「いいのか?ダリア。」
「シャアッ!」
問題ないどころか敵認定らしい。縄張り争いみたいなものなのだろう。
『モンスターを確認しました。リビングに巨大な巣を構築しています。』
「ダリアの時と同じか。なら、燃やすか?」
「シャアッ!」
私がやるっていう宣言なのだろう。蜂を連れてリビングへ向かっていく。
俺たちも後を追う。
既にリビングでは蜂同士の争いが始まっており、ダリアの速攻が成功したのだろう2体の巨大な蜂の屍がリビングに転がっている。敵の蜂はボスと巨大な蜂が1体だ。
蜂のボス同士は高速で移動して位置の取り合い、ダリアが生んだ2体の巨大な蜂は敵の残った1体の巨大な蜂と空中で取っ組み合っている。
敵の蜂のボスは、部下の不利がわかったのだろう。緑の闘気を風の刃に変えて、自分の蜂もろとも3体の巨大な蜂を切り刻む。その隙にダリアが覆いかぶさるように掴みかかる。
ガチ!ガチ!
蜂のボス同士が噛みつき合い、両者の傷が増えていく。
ダリアは洋風の美女だが、敵の蜂は南国風の美女だ。もう1匹くらい手を出したらまずいかな?と思ったが、ゾクリと寒気がしたのでやめておくことにした。
「≪
ダリアの傷がみるみるうちに回復していくと、敵の蜂はマジで?!見たいな顔をした時に油断したのだろう。ダリアにバチンと喉元を切り裂かれる。
―― クイーンビーを倒した ――
―― クイーンビーはLV20に成長した ――
―― ホーンシードラゴンはLV16に成長した ――
―― 4個のハチミツを手に入れた ――
―― クイーンビーは
「ん?また、リアルの空間に戻らないな。」
ダリアは爆発するような緑色の闘気を放つと鎧のような装甲がひと回り大きくなり、指先が長くなり、胸のスタイルがグーンと成長した。
―― スイートクイーンビーに進化した ――
「戻った…な。しかしアレだ。ダリアの胸が非常にけしからんかったな。うん。けしからん。」
『私じゃないと駄目なんですよね?』
「…。」
それはそれ。これはこれ。
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